ネットフリックスの『グレイス&フランキー』は70代女性の二人が主人公ですから、老化や死も描かれます。
夫側の有責で離婚したから、グレイスとフランキーも老後を生きるためのお金はしっかり手にしているはず。となると、求めるのは人間関係や生きがい。
グレイスはは現世の願いをすべて体現したような女性。持って生まれた美貌に加えてフィットネスやスキンケアに心血を注ぎ、若々しくスリムな姿を保っています。さらに化粧品会社を立ち上げたビジネス手腕の持ち主であり、長女に経営権を譲り、次女は医師の妻に。
一方のフランキーはヒッピー上がり。瞑想や占い、自然食品に凝り、常識はずれの行動を繰り返します。きれいな色合いの洋服を襟を立てて着こなすグレイスに対し、ブラジャーをつけないと公言し、国籍年齢不詳の民族衣装スタイル。養子の男の子が二人いて、長男は父と同じく弁護士になりましたが、次男は薬物とアルコール依存症からの回復途中。「出産経験がないくせに」とグレイスにマウントを取られたこともあります。
夫同士が弁護士事務所の共同経営者なので家族ぐるみのつきあいをしてきたものの、陰ではお互いのことを「大嫌い」と言ってきた仲。
離婚のショックに打ちのめされるグレイスに長女のブリアナは自助グループに入ることを提案します。AA(アルコール依存症の会)が有名ですが、アメリカ人は同じ問題を抱えている人が自発的に結びつくことで立ち直ろうと考えるのでしょう。
しかし、「同性愛者の夫に裏切られた70代の妻」というのはアメリカでもかなり特殊です。結局、身近にいる同じ立場のフランキーと結びつくしかありません。
しかもグレイスはアメリカのカップル文化にも順応しており、人間関係は夫婦ぐるみが基本。離婚により人間関係も失ってしまうのです。
わが身の行く末を想像しながら観ているのですが、もともと友達が少ないので、老後の人間関係にはあまり自信がありません。
大学時代の友人が3人ほど東京にいますが、コロナのためここ2年ほど会っていません。コロナがなくても、私と違い子育てをちゃんとこなしてきた友人は子どもの結婚や孫の世話で忙しく、顔を合わせる機会はそれほどなかったでしょう。
そんな中、日本語教師時代の同僚から連絡があり、久々に横浜で会うことになりました。要求水準の高い学生と上司に挟まれて胃の痛い思いばかりしていた3年間。非常勤で月火水の3日間教えていたので、水曜日の授業が終わって一緒にお茶を飲むのが何よりの楽しみでした。
せっかくなので、横浜の崎陽軒本店1階でアフタヌーンティ。コロナの前は予約を取るのがむずかしかったのに、空いていました。
外国人留学生が激減し、多くの日本語学校が休校状態ですが、元同僚は自治体主催の在留外国人向けの日本語教室で教え続けているそうです。日本語教師だったことも忘れてのんびり暮らしている私は頭が下がる思いです。
まったく向いていなかった教師稼業ですが、こうして縁ができただけでもやった甲斐があるというものです。
そして、ウラナイ8の仲間。
1年目はイベントも実施したけれど、こちらもコロナの影響でリアルに会うことが少なくなりました。それでもZoomを使った講座やミーティング、そして曜日担当で毎日掲載されるデイリーメッセージによってつながっています。この秋からは、紹介制のオンラインブッククラブも始まり、本好きの人たちとの縁もできました。
こうして見ると、まったく孤独な老女というわけでもないか。
老後資金の管理だけでなく、人間関係のメンテナンスにも心を配る必要があります。