翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

教室で垣間見る人生

世の中には欲深い人とそうでない人がいるのではなく、欲の方向性が違うんじゃないでしょうか。

「すべての欲を捨てて出家した」と聞くと、世俗を超越した立派な人みたいですが、「悟りたい」という欲が人一倍強いだけでは?

ミニマリストは物欲からは解放されていますが「自分の人生をコントロールしたい」という欲がけっこうあるのでは?

 

どの欲がいい、悪いではなく、自分の欲のタイプを知っておくことが大切です。

そうじゃないと、満足するのがむずかしくなりますから。

 

私は欲の強い人間です。そして、欲のベクトルは「知らない土地を見たい」「人の人生を知りたい」。だからフリーランスのライターになりました。取材で出張することも多かったし、人の話を聞いて記事にまとめるのですから、のぞき見趣味も全うできました。

 

プライベートでも時間ができればせっせと旅に出ています。

  

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 そして垣間見たいのは日本国内、日本人でもいいけれど、海外ならもっとおもしろい。

 

こんな私が外国人相手の日本語教師になったのですから、オーソドックスな日本語教授法をなぞるなんてまっぴらでした。

かくして、作文のクラスで「日本語の勉強」と称して、それぞれの学生の話をせっせと書かせています。

 

この夏も多くの学生がやってきましたが、中でも私の興味を引いたのは、ルクセンブルクの女子学生、アニーでした。

教室内では、特定の学生に対して露骨に興味を示さないように気を付けています。まあ、隠していると思っているのは私だけど、学生たちにはばれていかもしれませんが。

 

少女漫画の主人公のような美貌。とにかく目が大きくて、女優のエマ・ストーンに似ています。

ルクセンブルクは小国ながら国民一人当たりのGDPが世界一のリッチな国です。アニーの家も相当のお金持ちでしょう。

そして、ルクセンブルク公用語ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語。そしてほとんどの国民は英語も堪能です。アニーは国で日本語の個人レッスンも受けていたそうで、かなり上のレベルも相当なものです。そして趣味は乗馬。

 

「配られたカードをいかにうまく使うかを教えてくれるのが占い」という言葉があります。人生は不公平で、持って生まれた美醜や貧富、才能は努力ではどうしようもできません。でも、自分を知り、人生の流れをつかめば、しょぼいカードでもそれなりに満足できる人生を送れる。宿命は変えられないけど、運命は変えられるというのが占いの宣伝文句です。

 

アニーは18歳にして、美貌と富に恵まれ、日本語も加えて5か国語を操る才女。

ポーカーなら、ロイヤルストレートフラッシュ。すごいカードが配られている彼女の人生はどんなものなのか、私は知りたくてたまりません。

 

さすがに「お金持ちの家に美人に生まれるってどんな感じ?」は作文のテーマになりませんから「ルクセンブルクに生まれてよかったか」にしました。

アニーの作文。

ルクセンブルクに生まれてよかったと思いますが、やはり小さな国です。私は世界を見たいです。

そして「日本での最高の思い出」は、「鎌倉で見た海」。ルクセンブルクには海がないから。

瀬戸内海沿岸の街に育った私には、海なんてすぐそこにあるものなのに。

 

しばしば、人のことをうらやましいと思いますが、案外、それぞれの人生にはあまり差がないのかもしれません。

 

アニーは東京でさぞかし楽しい思いができたはずなのに、ほとんどの日はホームステイ先でせっせと日本語を勉強していたようです。

 

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アニーのノート。思わず撮影させてもらいました。日本の文房具が大好きという彼女は、マスキングテープやカラーペンを使って、漢字、語彙、文法と整理しています。

 

「どうして私のノートを?」と不思議がる彼女。

「写真を見ると、私のモチベーションが上がります。私も勉強しますから」 と答えました。

 

先週、アニーは帰国しました。今日もせっせと日本語を勉強しているのでしょうか。