翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

高齢者のサバイバル

自宅からもっとも近い都市銀行をメインバンクにしているのですが、ここ数年、改悪ばかりです。

ATMの数を減らして、窓口から分離して行き来できないようになりました。窓口は予約が推奨されています。銀行に利益をもたらさない少額預金者は相手にしていないのが伝わってきます。

先日、ATMにキャッシュカードと通帳を入れたら故障して出て来なくなりました。備え付けのインタホンで連絡。壁の向こうには銀行員がいるのだからすぐ駆けつけてくれるだろうと思っていたら、すべて遠隔操作で処理されました。

 

振込手数料も大幅に値上げされるそうで、高齢者いじめと言われますが、そのうち「年寄りだからと甘えるな、コストを考えろ」となるでしょう。

 

アメリカの外食産業のビジネス記事の翻訳をずっと続けているのですが、急激なインフレによる人件費の高騰により、日本以上に機械化が進んでいます。アメリカの高齢者はちゃんと対応できているのでしょうか。

 

この秋のスペイン巡礼も考え始めると不安になるのですが、歩くという超ローテクの旅です。先を急がなくていいように長めの日程にして、必ず歩き通そうという固い決意もない不真面目な巡礼者なので、なんとかなると思うことにします。

気がかりなのは、脳の衰えによるミス。貴重品リストを作って、毎朝の出発時には必ず確認しなくては。といっても本当になくしてはいけないのはパスポートとクレジットカード、スマホの3つでしょう。未開の地に行くわけではないのですから、衣類などは現地で買い直せばいいのです。

 

思い出すのは昨年、父の一周忌の帰省。

法要も墓参りも無事に終わり、新神戸駅まで兄の車で送ってもらいました。無事に終わってほっとして、予約した新幹線まで少し時間があるからお土産でも見て行こうかと思ったら、スマホと財布などの貴重品を入れたバッグがない! 

実家にはもう来ることもあまりないだろうから、晴れた日だけれど気に入っていた雨傘を持って帰ることにして、お菓子も持たされて荷物が増えていました。小さくて軽いショルダーバッグに貴重品を入れていたのが、肩からはずれて車の中に置いて来てしまったのでしょう。

なんで一番大切なものを確認しないのか。自分を呪ったところで問題は解決しません。手帳はショルダーバッグに入らなかったので着替え用のバッグに入れています。こういうときのために、手帳に新札を数枚挟んでいます。兄の携帯番号も手帳に書いています。デジタルに完全に依存していないアナログ人間なのが幸いしました。

コンビニでキャンディーを買って千円札を崩し、公衆電話を探します。駅には一台だけ残されていました。

ところが、兄は公衆電話からの通話を着信拒否にしているようでつながりません。これは困った! 交番に相談? 交番はどこにあるんだろうと駅をさまよって見つけたのが観光案内所。窓口の女性に事情を説明すると、親切に相談所の電話で兄にかけてくれました。

兄は帰宅の途中だったので地下鉄で途中の駅まで追いかけて落ち合うことにしました。

無事にスマホと財布を取り戻し、新幹線は出発時刻前だったので後の便にスマートEXで予約変更できました。

 

そういえば先日の下関の旅、帰りの北九州便は最終便で羽田着が22時半予定。渋滞が少なく電車の本数が減るこの時間帯、新宿への空港バスの予約競争はけっこうはげしいものがあります。券売機まで行って買おうとしても、出発間際の便は売り切れ。飛行機が着地して、携帯電話の使用が許可されたらスマホで空港バスの予約ページを開きます。とりあえず便を選びますが決済は到着ゲートに着いてから。とんでもない遠いゲートだと間に合いません。

バス乗り場までの時間が読めたところで、残席わずかの便を予約。乗り場に着くと、次の便を待つ人の列もできていました。

 

新神戸や羽田なら、こういう立ち回りができますが、異国の地ではまず無理でしょう。先を急がず、宿も選り好みしない大らかな態度を。そしてパスポート、クレジットカード、スマホは常に体から離さないこと。

 

死後事務処理委託をお願いしている団体の担当者は、さまざまなタイプの高齢者施設を知っているというので「しょっちゅう旅に出かけていると、他の入居者に嫌みを言われたりするのでしょうか」と聞きました。

「自分で手配して旅に出ているうちは施設に入る必要はありませんよ」と笑い飛ばされました。

あと何年、私には旅の自由が残されているのでしょうか。

 

関門海峡を行き来する船。釜山なら船で行ってみるのもおもしろいかも。