翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

越山の旅

12月初旬、新潟を旅しました。

JALの旅が多いのですが、今回は上越新幹線JR東日本の新幹線と宿泊がパックになったツアーで全国旅行支援を使わせてもらいました。代金が40%割になるのに加えて、夫婦で2泊したので3000円×4の1万2000円のクーポン付き。旅行できない多忙な方々には申し訳ないほどの優遇です。

しかし、新幹線の切符の発券には戸惑いました。これまで何度かJR東日本の「えきねっと」で予約して、クレジットカードやQRコードで発券してきました。今回は受取コードの数字を入力する方式です。エラー表示が出るので困りました。近場の駅のみどりの窓口はとっくに廃止になっており、大きな駅に行くと長蛇の列です。

改めて検索してようやくわかりました。予約サイトの入り口は「えきねっと」ですが、宿泊付きのツアーは券売機で旅行会社経由を選ぶことになっているのです。正しい情報を得て券売機を操作できないことには、お得な割引を受けるのもむずかしい時代です。

 

新潟を選んだのは夫の希望です。冬の新潟はおいしいものがいっぱいあるから。

寒いのが苦手な私は、伊豆の温泉に行きたかったのですが、先月は佐賀について来てもらったので、今回は選択権をゆずりました。

東京は雲一つない快晴だったのに、越後湯沢あたりから暗い雲が立ち込めてきます。雪はまだ降っていませんでしたが、気温もぐっと低く感じ、街行く人はしっかり冬支度。足元は頑丈そうなブーツが目立ちました。

帰りは逆で、新幹線で新潟を離れて何度かトンネルをくぐるうちに空はどんどん明るくなっていきます。

お米と日本酒、海の幸とおいしいものだらけでしたが、日本海側の冬は暗くて厳しいと骨身に沁みました。田中角栄の後援会が「越山会」という名前なのがよくわかりました。「越後の山という意味に加え、東京を行き来するには山を越えなければならないから」と説明されていますが、冬季に山を越えて上京するたびに東京の明るさと暖かさを痛感したことでしょう。

 

「国の光を観る」シリーズで新潟県庁へ。この時間は青空が広がり、最上階の展望スペースから日本海をながめることができました。

 

ネット情報によると昨年11月、1階に「アッパレ食堂」がオープン。昼食と夕食は行きたい店がありすぎると夫が言うので、カフェタイムに行ってみることにしました。名物はクラシックなプリン。

ところが、店先まで行ってみると照明がついていおらず10月末で閉店という貼り紙が! 1年しかもたなかったのか…。官公庁の食堂経営はなかなかむずかしいものなのでしょう。

 

県庁の食堂は体験できませんでしたが、今回とてもよかったのは、酒蔵の見学です。

新潟駅から徒歩15分の今代司(いまよつかさ)酒造。

平日でも1日7回のツアーが設定されており、申込んだ回の参加者は夫と私だけの貸し切りツアーとなりました。案内してくださった女性スタッフに自由に質問もできて、とても興味深い時間となりました。

なんといっても「今の世を司る」という名前が秀逸。もともとはお酒の名前の一つだったのが、いつの時代にも通用するので蔵の名前となったそうです。

 

新潟は北前船の寄港地として大いに栄え、江戸をしのぐほどの一大都市でした。実家があった神戸と似た雰囲気を感じたのはそのためです。

商品を預かって運ぶのではなく、船主が商品を買って売買する方式はリスクも高いけれど当たれば大儲け。村上海賊の末裔の私は大いに血が騒ぎます。よそ者にもオープンで、どこか豪気な新潟気質を垣間見た旅でした。ロシアに平和が戻り、新潟は海に乗り出して世界を相手にする都市となってほしいものです。