翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

上品に生きたい

元外務省主任分析官の佐藤優氏は、鈴木宗男氏の側近としてロシア外交で活躍後、背任容疑で逮捕され512日間東京拘置所に拘留されました。

これだけ長期間の勾留となると、ほとんどの人は精神的に混乱し検事のいいなりに供述調書を取られるのに、自分の意思を貫き通しました。そんな心の強い人の書いた『メンタルの強化書』。

 

「こんな異常な社会でメンタルを正常に保つのはむずかしいので、社会と距離を置く」「余計なエネルギーを使わない」といった教えが中心です。同志社大学神学部出身らしく「キリスト教には自己責任論なんてない」とも書いてあります。

 

ちょっといいなと思ったのが、気の合う独身者が何人かで地方で共同生活を送るという話。プライバシーを確保しながら、いざというときは協力しあう。老人ホームに入るより楽しそうです。

この共同体に入る条件はお金でも健康でもなく、「上品な人」。高級品を身に着けた所作の美しい人ではなく、「自分の利益や欲望ばかりを優先しない」「他者のプライバシーや生活に踏み込まない」「他人をだまして利用しない」のが佐藤氏の定義する上品な人。「資本主義の論理がむき出しになった新自由主義経済では、繊細でやさしい心を持った人は勝ち組になれない。下品で図々しい人ほど大金を得る」とあります。

年を取ってからの人間関係は損得抜きが基本。人を押しのけてお金を集め、お金を使ってしか人とつながれない下品なタイプは孤独な老後を迎えます。共同生活なんて絶対に声がかからないでしょう。

 

映画『ノマドランド』で最も醜いシーン。

定住する家を持たず、季節ごとに仕事のある場所に移動するアメリカの高齢者たち。ノマドになることを余儀なくされた人は、若い頃から貧しかったわけでも怠け者でもなくたまたま運が悪かっただけです。

主人公のファーンが車の修理代を捻出できず、妹に頼ります。姉を歓迎するためにバーベキューパーティを開いてくれたのですが、そこに来た客が声高にリーマンショックで暴落した不動産を買っていかに儲けたかを語るのです。家を失ってノマドになった人を前にして。下品の極みです。

 

東洋占術では財運が最も大きなテーマであるために、経済的に困窮する占い師はあまり信用されません。そこで私も株式投資の話をするのですが、あまり上品ではなく、恥ずかしく思います。株式投資はパイを奪い合うゼロサムゲームではなく、暴落すればほとんどの投資家は損をするし、その逆もあります。ただし、リスクに耐えられない繊細な人は耐えられないでしょうから、その点では博打好きの下品な人向けといえます。

 

私の思う「下品」とは、お金を持っているか持っていないかに関係なく、「もらえる物はなんでももらう」という人。上品なお金持ちもいるし、下品な貧乏人もいます。

 

「このままでは国家財政が破綻する」と緊縮財政を主張する財務省事務次官がスーパーでポリ袋のロールを5回転ほどさせて大量の袋を持ち帰ったとい週刊誌に報じられました。そんな下世話な記事をおもしろがる私も下品ですが、そういうことをする人が国家財政を担っているのかと暗たんとした気持ちになります。レストランのバイキングで後の人のことも考えずにごっそり皿に盛ったり、観光地でいい場所を取ろうとがつがつ動くのが行為が下品だと思います。

 

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先日の高山ワーケーション。帰りはワイドビューひだ号で名古屋まで出ました。先頭車両は自由席。眺めのいい席は、子供や鉄ちゃんに譲るつもりでしたが、平日の午前中にそんな人はだれもいませんでした。乗り慣れているらしい地元の人は適当な席でスマホをいじり、最前席に誰も座ろうとしません。いい年をして…と一瞬ためらったのですが、飛騨の山々の絶景を堪能しました。やっぱり上品に生きるのはむずかしい。