翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

一心同体の物とだけ暮らしたい

この秋に読んだ『わたしに会うための1600キロ』。

メキシコ国境からカナダ国境までの全長1600キロの山道を若い女性が一人で3か月かけて歩き通すという計画です。

bob0524.hatenablog.com

著者のシェリル・ストレイドは歩き通すことで、破綻しかかっていた人生を立て直します。コロナが落ち着いたら、私も四国八十八か所を回ってみようかと一瞬思いましたが、難所はあるにせよ、ホテルに泊まりながらの気楽な巡礼です。シェリルの場合は、テントや寝袋、着替えや防寒具、調理器具など一切合切背負って歩き通しています。食料や飲料水は補給地点で手に入りますが、そこに到達するまでの日数分も背負わなければいけません。

 

出発時にシェリルが大型のザックに入れた物のリスト。

フリースのズボン2本、長袖の保温下着、厚手のフリースのパーカー、ウールの靴下2足、パンツ2枚、薄手の手袋、日除け帽、フリースの帽子 雨天用のレインパンツ。

最初の中継地点に着くまでの食糧、14日日分。

テント、寝袋、広げるとマットレスにもなるキャンプチェアー、ヘッドランプ、ロープ、浄水器、小型バーナー、ガスボンベ、ライター、大小の鍋、調理器具、サンダル、タオル、温度計、マグカップ、蛇に噛まれた時用の毒吸引キット、生理用品、万能ナイフ、小型双眼鏡、コンパス、コンパスの解説書、救急箱、トイレットペーパー一巻 洗面用具、防虫スプレー、日焼け止め、ランタン、ろうそく、水筒、ゴアテックスのレインコート、予備の電池、防水マッチ、ガイドブック、愛読書、日記帳、運転免許証、現金、切手、友達の住所録、カメラ、ズームレンズ、小型三脚、フラッシュ。

そして水。二本の水筒に水を入れ、10リットル入りのウォーターサーバーも満杯にする。

こんなに必要なんでしょうか。至るところにコンビニのある都会に住んでいると、とても想像できません。

最初はザックを引っ張ってもびくともせず、なんとか背負って立ち上がってよたよた歩くのが精いっぱい。何しろ、体重の半分を超える重さです。

 

シェリルはザックを「モンスター」と名付けます。荷物があまりにも多いので、他のハイカーから「家がまるごと入っているのかね」「おばけザックのシェリル」とからかわれたりします。シェリルは「自然に生きるための荷物が全て背中に乗っている」と感じながらモンスターを背負って過酷なトレイルを歩きます。しかも寝るのは固い土の上。

重い荷物を背負ってひたすら歩く日々、シェリルのもつれた人生がすっきりしてきます。意識が体の痛みにだけ向いて、心の苦しみが薄れていくからです。宗教家が悟りを開くための苦行に通じるものなのでしょう。

 

トレイルの途中で、ボーイスカウト出身のベテランのハイカー、アルバートに手伝ってもらって荷物を減らします。

まず、次の中継地に行くのに必要なものだけをシェリルが詰める。詰めたところでアルバートがチェック。詰めたものを丁寧に取り出して二つの山に分ける。一つはザックに戻すもので、もう一つは不要品。まさにハイカーの断捨離。

不用品は捨てるのではなく、中継地点にあるハイカー用の放出品箱に残していきます。必要だと思ったハイカーが自由に持っていけます。なんと合理的なシステム。

 

こうして格段に軽くなったザックで、シェリルは一気にハイカーとして成長し、歩くペースもつかめます。

夜明けとともに起き、無駄のない動きでテントをたたんだ。今では5分で荷造りができる。

荷物のうち、手放したり燃やしたりしていないものはすべて、あるべき場所に収まっていた。どこに何があるか、正確に把握していた。必要になれば頭で考える前に手が伸びた。モンスターは私の宇宙となり、手足となった。その重さと大きさにはいまだに圧倒されるが、私の背負うべき重荷なのだ。一か月前のように敵ではない。モンスターも私に歯向かわない。私たちは一心同体だった。

 

ここまでハードでなくても、実生活もこうありたいもの。一心同体の物とだけ暮らすのが理想です。

 

f:id:bob0524:20211030210507j:plain

断捨離を心がけているのに、ハロウィンのダンスクラスのためにドレスを買ってしまいました。

10月最終週はスポーツクラブもハロウィン一色になり、仮装して踊る人もいます。スポーツというより楽しむためのエクササイズなので、衣装も大事。

レッスン仲間はやさしいので、ほめてくれました。「そのまま街を歩いてもいいんじゃない?」とも言われましたが、さすがに無理。スタジオ内だから許される衣装です。

ダンスは私の生きがい。音楽に合わせて体を動かすと、余計なことは考えなくなって生きている実感が湧いてきます。これだけ好きなのだから、ハロウィンの時期しか着ないドレスでも、私にとっては「一心同体の物」です。