翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

八戸で不耕貪食(ふこうどんしょく)を恥じる

JALの「どこかにマイル」で旅に出ることが多いので、セールがあると「どこかにマイル」になかなか出ない空港に飛びたくなります。

 

今回選んだのは、三沢空港。行きも帰りも満席でした。訪日客より日本慣れした印象の外国人乗客が多く、米軍関係者が休日を東京で過ごすために利用しているのだろうと想像しました。

 

滞在地は八戸。三沢空港から路線バスが出ています。青森というと津軽のイメージが強いのですが、八戸は南部藩で文化や風土は岩手のほうが近いそうです。

地方都市によくあるパターンで、八戸はJR駅と街の中心部が離れているのですが、空港バスは繁華街が終点でした。うれしいことにドーミーインがあり、大浴場は最上階。このところ温泉に行くことが多かったのですが、サウナと水風呂、外気浴の三点セットが満喫できる最高の環境でした。

そして、八戸の街も少し歩いただけで大好きになりました。全国展開のチェーン店もありますが、地元のお店も多く、飲み屋街の充実していること! 街歩きが楽しいのは、中心部に八戸ポータルミュージアム(はっち)と八戸まちなか広場(まちにわ)というスペースがあり、誰でも自由に出入りでき一休みできるのです。

 

6月だったので、両館ともに傘をテーマにした展示。広々とした吹き抜けに色とりどりの傘が映えます。

 

さらに地酒「八鶴」「如空」の八戸酒類株式会社の蔵元直売所も街の中心部にあります。大正時代に建築されたモダンな建物で、試飲や角打ちも楽しめます。

ゆったりした窓際の席で味わう地酒。ここの接客がすばらしいの一言でした。珍しいお酒を求めて来た客、知人のお祝いに贈るお酒の相談に来た客との親切なやりとり。その合間に季節限定のお酒の試飲カップが次々と運ばれ、お勧めの居酒屋のメモまで渡してくれました。直売所だから自社製品のアピールが目的でしょうが、それ以上に八戸のよさを知ってほしいという熱意が感じられました。

 

すっかりいい気分になり、お隣の安藤昌益(あんどうしょうえき)資料館へ。八戸酒類株式会社が倉の一つを提供してできて施設です。

江戸中期の医者で、飢饉で餓死する農民をよそに裕福な暮らしを続ける武士を見て「人は何万人いようとも一人一人が自由平等である」というラディカルな思想を主張。自然と人間が調和する社会を提唱し、世界初のエコロジストとも呼ばれています。1950年にGHQハーバート・ノーマンが『忘れられた思想家ー安藤昌益のこと』を岩波新書で発表しベストセラーとなり脚光を浴びました。

資料館に貼られている安藤昌益の言葉の一つが「不耕貪食(ふこうどんしょく)」。自ら生産活動をせず、他人が働いた成果を盗み取っていることで、まさに今の私のことだと恥ずかしくなりました。