アマゾンプライムでシーズン1から『クリミナル・マインド』を観ています。
ネットフリックスとアマゾンプライムがあるから外出自粛も退屈せずにすんでいるのですが、なんと『クリミナル・マインド』は5月25日でシーズン9までの配信終了! あわてて延々と見ています。動画配信サービスに慣れてしまうとわざわざ出かけるDVDレンタルはとても面倒に感じられます。
『クリミナル・マインド』にハマるのは、アメリカのエンターテインメント業界の底知れぬ力を感じるから。第二次大戦後、映画『風と共に去りぬ』を観て日本とのあまりの国力の差に敗戦は当然だったと悟ったという話がありますが、これほどのドラマを作れるアメリカはすごい国だと改めて感服します。
シーズン2の『出口のない迷路』。
カンザスシティでホームレスや麻薬中毒者、売春婦など60人以上が失踪。気づいたのは地区を巡回するマクギー刑事。FBIに直訴して捜査が始まりましたが、マクギーの上司は大反対。国全体を捜査の対象とするFBIに対して、地元警察の反発はかなり強いのでしょう。失踪届もまったく出ていません。ホームレスは失踪者にもなれないのです。
しかもマクギー刑事は強迫神経症ぎみ。父親が警察官で殉職したことからお情けで職を得たもののあまり役に立たず、街の見回りを担当していたのです。
捜査は難航し「やはり無駄なこと、事件性はない」というマクギーの上司にFBIはこう反論します。
「もし消えたのが娼婦やジャンキーじゃなくて、チアリーダーや母親だったら」。
下敷きにあるのは、ヨークシャーの切り裂き魔。13人が殺害された事件ですが、初期に殺されたのは売春婦で、一般女性が殺され始めるまで警察は本腰を入れて捜査をしませんでした。組織の中で無能とされていたマクギー刑事が大量殺人を発見したことでストーリーが厚みを持っています。
FBIのプロファイリングによると、このケースは「浄化殺人」。犯人には罪の意識どころか社会を浄化することで世の中のためになると殺人を正当化しているのです。「私が何をしたというの?」という売春婦に「病気をまき散らしている」と答えます。やまゆり園事件の犯人も「障碍者は不幸を生むだけ」と主張しました。
『出口のない迷路』を観て、現在の世界にも思いを馳せました。
医療崩壊を起こしたイタリアは80歳以上の高齢者に対する治療を断念しました。自分より若い患者に人工呼吸器を譲った72歳の神父もいました。
もし日本がイタリアのような状況に陥ったら…。
ただでさえ超高齢化社会で財政が圧迫されているなか、コロナで高齢者だけが亡くなるのはちょうどいいと考える人だっているでしょう。
私自身は終活の一環で延命治療を一切拒否することを書類にしましたが、そういう選択をしない高齢者も見殺しにすべきだとは言えません。
とりあえず日本は医療崩壊を免れたとしても、いつか命の選別を迫られることがあるでしょう。
コロナによって、答えを先延ばしにしていた問題が目の前に差し出されています。
スペインの港町カディスのカフェ。観光客が多いので朝食メニューはわかりやすく表示されています。人生の選択もこれぐらいシンプルならいいのですが。