翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

易者の身の上知らず

コロナウイルスによって外食や旅行など多くの業界が打撃を受けています。政府からの経済支援はどこも切望しているでしょうが、予算には限りがあります。

 

「うちはこんなに大変」と窮状のアピール合戦で最も失敗したのが演劇業界。

始まりはNHKのインタビュー。

製造業は、景気が回復してきたら増産してたくさん作ってたくさん売ればいいですよね。でも私たちはそうはいかないんです。

たしかに演劇業界が大変なのはわかりますが、スポーツやイベント業界も同じですし、旅行やホテル業界も増産できません。そして製造業にしても、簡単に増産はできないし工場を休業しても固定費はかかります。

 

極めつけはこの発言。

漫画を読むと感染するウイルスが発生したと思ってください。漫画家さんは過去の印税でしばらくはしのげるかもしれませんが、アシスタントさんは全員、解雇ですよね。

照明や音響などフリーランスのスタッフに触れているのですが、たとえ話がしっくりこなくて、非常事態でささくれ立っている人々の心に着火して大炎上しました。こんな回りくどい言い回しより「演劇業界には明日の食事に事欠くスタッフも出てきます、助けてください」のほうが通じるだろうに。

 

たとえ話はうまくはまれば、最大限の効果を得られます。私はミッション系の学校に通ったのですが、キリスト教学の授業で学んだのは、イエス・キリストがたとえ話の名人だということ。

「新しいぶどう酒は新しい革袋に」「野の花は働きもせず、紡ぎもしない」「あなたたちは地の塩である」等々、こういうたとえ話ができてこそ宗教が広まり定着します。

 

口舌の徒は気が利いた言葉を使うことで食べていきます。へたなたとえ話を使ったのが、ことばとは関係のない実業の関係者だったらここまで炎上しなかったのでは。この人はコミュニケーション教育も推進しているというのに、どうしてこんなたとえ話を? それほど演劇業界が切羽詰まっていたからでしょうか。

 

人のことをあれこれ言うと自分に跳ね返っています。

「医者の不養生」「紺屋の白袴」と同じ系列のことわざに「易者の身の上知らず」があります。いつも開運だと金運上昇を説いてきた占い師がコロナ禍によって貧乏になるのは、自分のことが占えないから。

 

東日本大震災後、開運記事の発注が大幅に縮小し、収入が減りました。今回もそうなりそうです。

このところの女性週刊誌の特集は「型紙付き・簡単マスクの作り方」「感染リスクを徹底的に下げる!」「自粛生活を乗り切るおこもりメニュー」など時流に合った実用記事が目立ちます。

 

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1月にでかけた石垣島で見かけた民宿。外見がとても素敵だったので「次はここに泊まりたい!」と写真に撮りました。昭和初期の木造二階建だそうです。玉城デニー知事が「沖縄に来てください」と言うのはいつになるのでしょうか。