翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳ですが、活字媒体が減少でリタイア状態へ移行中。JALの「どこかにマイル」で日本各地に出没。7人の仲間とウラナイ8で活動しています。

生産性の高い高齢者

知り合いの息子さんが東京大学に合格したというので先月、お祝いの席を設けました。昔は東大を出て官僚になるのがエリートの道でしたが、今や東大生に官僚や大手金融は人気がないそうです。だったら何を目指すのか聞いたら「コンサルタントか起業」とのこと。

 

コンサルタントは、高給だけど世間からは批判的な目も向けられています。外部から乗り込んで生産性にばかりにこだわって現場をないがしろにするイメージ。

それでも東大生の人気就職希望先になっているのは、実際にニーズがあり効果が出た会社もあるからでしょう。

 

それで読んでみたのが『自分の時間を取り戻そう』。

著者のちきりんは、ブロガーとして知られていますが正体は元マッキンゼー経営コンサルタント、採用マネージャーではないかと言われています。

 

「高齢になって生産性がなくなれば社会のお荷物になる」と刷り込まれているので、生産性の高い高齢者といえば、若者顔負けのスーパーおばあちゃんだったり、経験を活かして有益な指導ができる達人というイメージがあります。

しかし、精神はいつまでも若くても頭脳と肉体はそうではありません。ちきりん氏が伊賀氏なら現在50代半ばで、「20代なら1日7時間ぐらい頭が動いたが今は4時間」と書いています。私は加齢の自覚が遅く、若い頃のような無理ができないと感じるようになったのは60代になってからです。活字産業の斜陽と重なりぽつりぽつりと仕事を受注していますが、コンサルト業界ではそんなゆるいことは許されません。伊賀氏は40代後半でマッキンゼーを退職。マッキンゼーの前は日本の大手証券会社で働いていたので、投資によりフリーランスとして立ちいかなくても大丈夫なだけの資金の目途も立っていたのでしょう。

 

生産性とは効率や利益を上げることではなく、「自分が手に入れたいもの」をいかに少ない投入資源で手に入れるかだと定義されています。

ですから、専業主婦や定職を持たない高齢者にも生産性は大事です。

高齢になって1時間も移動すると疲れてくるというのなら、その1時間をどこに行くために使うのか戦略的に考えるべきだし、長く読書すると目がかすむというのなら、その1時間で何を読むべきかを厳選する必要があると説かれています。

高齢になればなるほど少ない体力や知力を有効活用して、いかに自分が満足できる日々を送れるかを工夫する必要があります。

 

私が旅に求めるものは、美しい風景やおいしい食事ではなく、現地ならではの体験です。若い頃はバックパッカーの旅を満喫しました。時間があってもお金が乏しかったので乗り継ぎの格安航空券で海外へ行き、ネットがない時代は現地に着いてから安宿を探していました。高齢になるとお金より体力のほうが貴重ですから、そんな旅のスタイルは無理です。

「パッケージ旅行では現地のことはなにもわからない」というバックパッカー至上主義者は「どんな国でも自分の力で旅行できるという実証であり実感」だと、ちきりん氏は書いています。現地への適応力や瞬発力、判断力が衰え、今の私にあるのは「どんな国でも旅行できる自分の金」だけです。

 

別府で見かけた酒場の看板「ポンコツ道場」。

後で調べると、料理はほとんどなく、乾きものや缶詰やカップラーメンしか置いていないようです。大分は魚介類とキノコがおいしいので料理自慢の店に行ってしまいますが、評判のところは観光客も詰めかけます。地元のディープな話を小耳の挟みたいというニーズに対しては「ポンコツ道場」は生産性の高い酒場かもしれません。