スペイン巡礼の掲示板に、72歳の女性が「初めて行くのだけど、旅行会社に宿や荷物運搬の手配を頼むか、自分でやるほうがいいか」という質問を書き込みました。
情報も集めているし、トレーニングもしているけれど、一人で全部やるのは不安だと。わかります、私もそんな気持ちです。
スペイン巡礼でよく検索しているので、旅行会社の広告もよく出ます。添乗員同行だったり、アルベルゲ(巡礼宿)ではなくホテル泊といったプランもあります。
その日の宿を心配することなく歩くことに集中できそうですが、自分のペースで進めないし、気に入った街があったら数日滞在するつもりなので、旅行会社は使いません。
72歳の女性に寄せられたアドバイスのほとんどは、行ってみたらなんとかなるというものでした。ネットの予約は簡単でキャンセル料不要の宿も多いし、自然な形で巡礼者同士が助け合うようになるとのこと。カミーノは「地球上で最大にして最も安全なアドベンチャーパークのようなもの(the biggest, safest, adventure park on the planet)という表現が気に入りました。
この掲示板は、何回も巡礼の道を歩いているというベテランの人が多く、初心者にも丁寧にアドバイスしてくれます。きっと本番もこんな感じで教えてくれる人が多いのでしょう。
たくさんのアドバイスに感謝しつつ、女性はこう書いています。
「カミーノはずっと私の夢でした。本当は夫と二人で行くつもりで準備してきましたが、夫は昨年に亡くなりました。一人になってしまっても夢はあきらめたくないのです」
それぞれのストーリーを背負ってみんな歩くのでしょう。
4年前の9月に訪れたスペインは、毎日気持ちのいい気候が続きました。今年の9月はどうでしょうか。
ヨーロッパの学校は秋から新学期ですから、巡礼路を歩くのは中高年が多いはず。どんな人と会えるでしょうか。友達を増やしたいわけではなく、世界各地から集まった巡礼者と偶然出会って、同じ時間を共有したいのです。フランス人の道は最速でも1か月はかかると言われています。そんな長期休みが取れるということは、仕事の第一線から引退した人が多いのでは。豪華客船ではなく、わざわざ徒歩の旅を選ぶタイプですから、気が合いそうです。
この春歩いた熊野古道では、アメリカ人のジェシーとケイトと出会いました。帰宅後はお互いに撮った写真を送るためにメールを1通ずつ交換しました。もう二度と会うことはないだろうけれど、熊野古道を歩いたというより、あの二人と一緒に歩けたことがかけがえのない体験でした。