オランダ、イタリア、ブラジル、ドイツなど、スペインにいながらにして国際色豊かなアルベルゲを泊まり歩いています。もちろん、スペイン人オーナーでパエリアが出るアルベルゲにも泊まりました。
先日は韓国アルベルゲ、オリオンへ。
カミーノを歩くアジア系で最も存在感を発揮しているのが韓国人。キリスト教徒が多いし、カミーノを舞台にしたテレビドラマの大ヒットで多くの韓国人が歩くようになったそうです。
日本の四国八十八ヶ所お遍路や熊野古道の知名度は高く『いつか行ってみたい』という声をよく聞きます。しかし、カミーノに匹敵する観光資産でありながら、外国人にとっては敷居が高そうです。
韓国アルベルゲがあるなら、日本アルベルゲを作って四国や熊野古道の情報発信をしたらどうでしょう。ここからイメージがどんどん広がります。
寝床はカプセルホテル。実際、パンプローナにはカプセルホテルのようなホステルがあり、大人気のようです。
食事はどうしよう。寿司は無理だから鉄板焼き? オリオンではビビンバを出していました。
だったら日本はカレーライスだ! ハウスバーモントカレーなら、作り方も簡単だし、インド→イギリス→日本にアメリカが加わったグローバルな料理としてアピールできます。
オランダのアルベルゲのように瞑想タイムを設けるのもいいかも。延々と続くメセタ(イベリア半島の広大な乾燥平原)を歩き続けて飽きないかという話題になったとき、ウォーキング・メディテーションについて話すと「教えて」と頼まれることがよくあります。バンコクの外国人向けヴィッパサーナ瞑想講座のような感じでやればいいでしょう。
アルベルゲの名前は何にしよう。カミーノと熊野古道は姉妹巡礼路だから、シスター・ピルグリムとか。いや、韓国がオリオン、オランダはオアシスと印象的な単語を使っているから、対抗するにはZENだ! アルベルゲZEN。カレーライスと瞑想講座でけっこう人気になるかも。
しかし、一からアルベルゲを始めるとなると物件探しや契約などハードルが高すぎます。もっと若かったら挑戦したのに。
と思っていたら、カルサディージャ・デ・ラ・クエサという街でぴったりのアルベルゲに行き当たったのです。前の街から17キロ以上離れているので、ほとんどの巡礼者はここで泊まるかバルで休憩していきます。広い共有スペースがあるので、お遍路と熊野古道の資料を置いてもらって、瞑想講座も開けそう。オーナーのナタニエルは日本びいきで、いつかはお遍路を歩いてみたいと言います。2023年3月に経営を引き継いだばかりで、どんどん改良を加えていきたいと意欲的です。出身はカナリア諸島でイギリスで働き、カミーノを歩いたことでアルベルゲ経営を志ざしたとのこと。協力を仰ぐにはぴったりの人では。
カミーノのシーズンは4月から10月の7か月。一人で全期間担当するのはむずかしいから、ウラナイ8と同じように何人かの仲間を集めて一か月ごとで回していったらどうだろうか。わざわざスペインまで来てボランティアをする奇特な人なんてそういないと思いきや、日本人のオスピタレイロ(アルベルゲの世話係)志願者はけっこういるみたいです。定年退職後に暇を持て余しているシニア、あるいは海外で意識高い活動をして進学や就職のアピールに使いたい若者にも向いています。
こうした夢想が自由に広がるのもカミーノの醍醐味。長い夢を見続けているような気分で歩き続けています。