ライターの仕事を30年以上続けてきて、私にとって書くことは原稿料を稼ぐためのものでした。活字媒体の減少から締切に追われることも少なくなるとともに、そろそろリタイアの年齢を迎えています。
「年を取ると、どんなことも忘れる一方。書いておかないと、なかったことになってしまう」
ネットで目にしてどきりとした言葉です。私から書くことを取ったら何も残りません。このブログを始めるきっかけは、横浜中華街での占いの店に座るようになったことです。どんな占い師なのか知りたい人もいるだろうと思って書き始めました。中華街の店は2年で卒業しましたが、原稿料をもらって書くのと違い、好きなように書けるのが楽しくて続けています。体験や思考の記録となっており、一時期フィンランドにハマったり、カウチサーフィンや日本語教師を始めた動機も書きとめています。今の私には、もうあんな無鉄砲なことを始めるエネルギーがありません。
2019年8月にウラナイ8が誕生し、7人のメンバーで曜日ごとにデイリーメッセージを掲載しています。こちらは穴を空けるわけにはいきませんから、ブログの更新より優先しています。
「開運虎の穴」というタイトルにしているので、運の悪いことは書けません。
占いのライターとなった時に編集者に言われた言葉を思い出しました。
「太ったダイエットライター、肌荒れの美容ライター、金欠のマネーライターには原稿を発注しない。占い原稿は、運がいいライターに頼みたい」
コロナにウクライナと世界は不安定な情勢が続いていますが、なんとか自分の運気を保っているのは、開運について書き続けているからでしょう。
ネットのおかげで、昔ならチラシの裏に書き留めていたようなことを世界に向けて発信できるようになりました。何のために書くかは人それぞれですが、私は自分のために書いています。そしてウラナイ8のイベントで「ブログ、いつも読んでいます」と声をかけてもらうこともあり、読者がいることにびっくりしありがたく思います。
旅先の思い出の写真を貼れるのもブログのいいところ。「スターウォーズ エピソード2」のロケが行われたセビリアのスペイン広場です。1929年の博覧会の会場として造られたものですが、後世に残り観光スポットとなる箱物なら税金を投入する価値があります。
「スター・ウォーズ」の名言の一つ。
Luke, you're going to find that many of the truths we cling to depend greaty on our own point of view.
ルーク、我々が固守する真実のほとんどは、見方によって変化することに気づくであろう。
同じ旅をしても、書き残すかどうかで記憶が変わってきます。どんなに心動かされても、言葉にしなければ整理されていない漠然とした思いのままで、やがて忘れ去られます。
コロナ以前、自由に旅していたのが遠い昔のように感じます。最後に行った海外旅行がスペイン。セルビアのスペイン広場、カルメンの舞台となったタバコ工場、歴史的なバル、そして街の片隅にあったコインランドリーも思い出の場所。こうして書いておいたからこそ、リアルに思い出せます。