翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

暮らすように旅する

島根在住の友人がいるので、毎年のように旅をしています。

去年からはもう一人の友人が加わり、三瓶山の温泉で深夜まで盛り上がりました。

 

同行者は東京のご近所さんでスポーツクラブ仲間。

本業はシナリオライターなので、旅先ではいつも、「ここに住んだらどんな暮らしになるか」と想像しているそうです。

 

旅先では、なるべく現地に溶け込むようにしています。旅先の荷物を最小限にするのもそのため。島根の友人には「まるで隣町に来たみたい」と荷物の少なさに驚かれます。

 

長い旅では、コインランドリーを利用します。

せっかくの旅行なのに1時間以上もコインランドリーで過ごすなんて時間がもったいないと思う人もいるでしょうが、現地の人の生活を垣間見るには格好の機会です。

 

昨年の春、自宅のリノベーションで3週間、東京と横浜近郊のホテルを転々としました。横浜中華街近くのコインランドリーに行くと、場所柄かレストラン関係の人がテーブルクロスや布製のナプキンをどっさり洗っていました。近くに東京芸大の横浜キャンパスがあるためか、アーティスト風の若者も洗濯にやってきます。

持参した本を読みながら、次々とやって来る人を見ているだけで時間があっという間に過ぎました。この世界のどこでも、人々は食事をしたり洗濯や掃除をしていると思うと、毎日の生活が愛おしくなります。

 

昨年の秋のスペイン旅行ではセビリアで洗濯することになりました。

 

ホテルからコインランドリーまで徒歩で10分ぐらい。グーグルマップを頼りに歩いていきます。

最新の洗濯機を備えたこぎれいなコインランドリーですが、使い方がよくわかりません。洗濯の終わりを待っている親切そうな年配の人に「どうやって洗いますか?」と聞いてみました。

「いや、あの…私は英語が…」と、しどろもどろな反応。スペイン人は英語が苦手な人が多いようです。没落したとはいえ、世界に冠たるスペイン帝国の末裔ですし、国内にいる限り自国語で用が足りるのですからわざわざ外国語を学ぶ必要がないのでしょう。日本と同じです。

根が親切な人が多いので、隣の若い女性に「あなたなら説明できるでしょう」と役割を振ります。

その女性は読んでいた本を傍らに置き、「それでは私が」と立ち上がりました。まるで舞台役者のよう。さすがオペラ『セビリアの理髪師』の地です。

 

「まず、コインをここに入れて」とショーが始まりました。

手持ちのコインで足りません。ホテルのフロントが混んでいたので両替せずに来てしまいました。

「じゃあ、そのお札を両替機に入れましょう」と彼女は続けます。

ところが、両替機がお札を受け付けません。何事にも大らか(いい加減)なスペインですから、コイン不足で放置されているのです。近くには両替してくれそうなお店もないし、かといってホテルまでは徒歩で10分なので引き返すのも面倒です。

 

「このお札をコインに両替できる方、いらっしゃいますか」と観客に向かってアピール。みんな財布を出してコインを数え始めました。

 

無事に10ユーロをコインに両替できて、洗濯スタート。日本風に手を合わせて感謝のおじぎをして舞台の一幕が終わります。

 

洗濯でさえこんなエンターテイメントになるセビリア。この街を再び訪れたいと強く願った夜でした。

 

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 昨年の8月8日に発足したウラナイ8のノベリティグッズを洗濯物入れとして活用しています。