翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

絶対幸福感

コロナ不況で自殺者が増えると言われていましたが、蓋を開けてみると4月の自殺者数は前年比2割減。

緊急事態宣言で社会全体が大変な状況に陥ると、生きることに必死になり自ら死を選ぶことが少なくなるのでしょうか。楽しそうなデートや家族旅行を横目に見ながら一人で家に閉じこもるのはつらくても、社会全体がそうなら孤独をあまり感じなくてすむのかもしれません。

 

となると、自殺が増加するのはこれからでしょうか。幸せな恋人たちはデートができるようになるし、稼ぐ人はさらに稼ぐだろうから。

 

人間は他人との比較で幸福を実感する傾向があります。

子供の頃、食べ物の好き嫌いを言うと「アフリカには食べたくても食べられない子供がたくさんいる」と叱られたのを始めとして、成績が平均より上か下か、平均結婚年齢より前に結婚できるか、年代別年収や貯金額みたいなことばかり気にして生きてきました。たしかに自分より悲惨な状況の人を見ると「私は恵まれているほう」と思えますが、自分より上の人も山のようにいます。

 

この2か月は自宅にこもっていればいいので、そういう比較から少し離れることができました。年齢的なこともあります。早期リタイアを果たして心豊かに暮らしている若い人もいますが、凡人にはなかなかむずかしいことです。しかし、60代が迫ってきて、人と競争ばかりしても意味がないと思えるようになってきました。

 

ある音だけを聴いた時に高低がわかる絶対音感を持っている人がいるそうですが、絶対音感ならぬ絶対幸福感を身に付けないと、老後の安寧は得られません。

 

外出自粛中は異常犯罪を描く「クリミナル・マインド」を延々と見ています。

シーズン5の『破壊者の群れ』は、ワシントンDCでの連続殺人事件。事件の背景にあるのはジェントリフィケーション(都市部の再開発)。アメリカは車社会なので富裕層は郊外、都市の中枢部に労働者階級と棲み分けが行われてきました。ところが、再開発により都市に高級住宅が建てられるようになり、物価の上昇からもとからいた住民が住み続けられなくなり問題になっています。

『破壊者の群れ』の犯人たちは、高級住宅を作る建設労働者。「ちゃんと仕事もしているのにどうしてこんなことを」とFBIに問い詰められますが、日々の仕事は下請けでの肉体労働で、昇給や昇進の見込みなし。自分たちが作っている住宅に住むのは手の届かない階級の新参者で、彼らのせいで慣れ親しんだ地元が変わっていく…。原題の『Hopeless』がそのあたりをよく表しています。

ジェントリフィケーションさえなければ、上流階級の姿を目の当たりにして自分たちと比較することもなく、働いて汗を流した後は仲間とビールでも飲んでストレスなく暮らしていたかもしれません。

 

緊急事態宣言が解除されて少しずつ日常生活が戻ると報じられています。華やかに生活している人がうらやましくなるかもしれませんが、ドラマと読書で過ごした2か月間で少しは「絶対幸福感」が養われたと信じて、自分だけのささやかな幸せを見つけたいものです。 

 

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昨年のスペイン旅行、マドリッドのバルで注文したアスパラガスとトマトのグリル。薫り高いオリーブオイルで野菜の生命力あふれる一皿でした。旬のアスパラガスで作ってみるつもり。こういう幸せをちゃんと実感できる生活が理想です。