翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

活字の旅を楽しむ

世界地図を広げて「次はどこへ行こうか」と空想。お金と時間が許せば行きたいところに行ける。当たり前だと思っていたことが、当たり前じゃなくなりました。

 

そこで旅の本を読むことにしました。

エリザベス・ギルバートの『食べて、祈って、恋をして』。最初は日本語で読み、原書に挑戦。109の章で構成されているので、少しずつ読み進められます。

  

Eat, Pray, Love: One Woman's Search for Everything

Eat, Pray, Love: One Woman's Search for Everything

  • 作者:Elizabeth Gilbert
  • 出版社/メーカー: Bloomsbury Publishing PLC
  • 発売日: 2007/01/30
  • メディア: ペーパーバック
 

 

4か月ずつ3か国、1年間を旅先で過ごすといううらやましすぎる計画。イタリアでは食を通じて人生を楽しみ、インドではアシュラムの瞑想で神とつながり、インドネシアでは肉体と精神のバランスを取るレッスン。

自分探しの若者ならいざしらず、合計1年間の旅はかなり贅沢です。それでも、泥沼の離婚裁判でうつ病になり14キロも体重を落とし、立ち直るためには旅に出るしかなかったのです。

元夫は現金と自宅に加えて結婚中に彼女が書いた本の印税の一部や映画化されるときの映画化権の一部、個人退職金積み立て口座の一部も要求してきたそうです。男女平等とはこういうことかと思いました。

 

もし私がエリザベスのような旅ができるなら、どの国を選ぶか。

生きる喜びを味わうなら、スペイン。去年の秋の旅でこの国が大好きになりました。バルの食事はおいしいし、ビールが充実しているのもうれしい発見でした。

精神性の追求ならタイへ。外国人を受け入れるビッパサナー瞑想の施設があります。

そして肉体と精神のバランスを取るならフィンランドへ。知人もいるし、毎日サウナに入れる!

 

現実にはスペインのコロナウイルス感染者は中国を上回りました。カフェやバルで常連のお年寄りは、ハグとキスで迎えられていました。なんて高齢者に優しい国なんだと感心しましたが、あれで感染が広まったのでしょう。

タイは非常事態宣言が出たし、フィンランドは国境を封鎖しています。

 

食べて、祈って、恋をして』で最も読みごたえがあるのは、インド滞在記です。

当初、エリザベスはインド滞在の4か月のうちアシュラムに6週間滞在し、残りのは各地を旅する計画を立てていました。

 

There's so much to see and experience here. I've got a lot of mileage to cover, temples to explore, elephants and camels to ride. And I'd be devastated to miss the Ganges, the great Rajasthani desert, the nutty Mumbai movie houses, the Himalayas, the old tea plantations, the Calcutta rickshaws racing against each other like the chariot scene from Ben-Hur. And I was even planning on meeting the Dalai Lama.

見るべきもの、経験すべきものが山ほどある。行くべき旅路は長く、寺院を探索し、象やラクダにも乗る。ガンジス川、ラジャスタン砂漠、ムンバイの映画街、ヒマラヤ山脈、昔ながらの茶畑、『ベン・ハー』のシーンみたいなカルカッタの人力車レースも見逃したくない。ダライ・ラマに会う計画まで立てていた。

 しかし、エリザベスは4か月間、アシュラムで過ごすことに決めました。

 

On the other hand, the Zen masters always say that you cannot see your reflection in running water, only in still water. So something was telling me it would be spiritually negligent to run off now, when so much was happening right here in this small, cloistered place where every minute of the day is organized to facilitate self-exploration and devotional practice. Did I really need to get on a bunch of trains and pick up intestinal parasites and hang around backpackers right now?

 

一方、禅の導師は「流れる水に自分の姿は映せない、映せるのは静かな水だけ」といつも言っている。一日のすべての時間を自己探求と献身的な修行に捧げる小さな修道院のような場所でたくさんのことが起こってのに、ここを去るのは精神の怠慢だと何かが私に告げていた。今さら電車に乗りまくって腸内バクテリアを広い、バックパッカーたちと動き回る必要があるのだろうか。

 

不要不急の外出自粛が求められている東京だって、意識の持ちようでインドの田舎の小さな村のアシュラムのように過ごせます。

エリザベスはアシュラムで瞑想ばかりしていたのではなく、割り当てられた仕事もしていました。寺院の床磨きです。

 

I'm aware of the metaphor--the scrubbing clean of the temple that is my heart, the polishing of my soul, the everyday mundane effort that must be applied to spiritual practice in order to purify the self, etc,etc.

寺院の床磨きは、私の心、魂を磨くことに通じる。日常の平凡な仕事を心をこめてやることは自分を浄化する精神の修行につながっていると気づいた。

 

床磨きなら、家でいくらでもできます。新規の仕事が入らず時間があるのだから、読書とNetflixに加えて、精神を浄化するつもりで掃除に精を出せばいいのです。

 

f:id:bob0524:20200309181303j:plain

マドリッドの街角の古書店

また海外に行けるようになったら、旅ができるありがたさをしみじみと感じることでしょう。