翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

アイスクリームの求不得苦(ぐふとっく)

ケネス田中先生の仏教講座で8つの苦しみについて学びました。

生死病死。そして愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦(愛する人と離れ離れになること、恨み憎む者と会うこと、求めるものが得られないこと、肉体と精神が思い通りにならないこと)。

愛別離苦と怨憎会苦は恋愛と人間関係の悩みでさんざん聞いたし、医学が発達した現代でも五蘊盛苦は免れません。イメージしにくいのが求不得苦。日本に生きていればネットでたいていの知識は手に入りますし、よほど運が悪くないかぎり、毎日の食事に困ることはないし、洋服だって余るほど持っています。

 

ネットフリックスの『ヘッドスペースの瞑想ガイド』で、求不得苦のイメージを鮮明につかむことができました。

 


www.youtube.com

 

ガイドはイギリス人のアンディ。世界各地で仏教の修行を積み、瞑想普及のための団体「ヘッドスペース」を創設しました。

アメリカ英語もいいけれどイギリス英語も好きなので、アンディの誘導で瞑想するのは最高。そして、瞑想の前のお話も大いに参考になります。

道路の脇に座って、車を眺める。車は思考。車を止めようとせず、ただ眺める。車に気を取られることに気づいたら、また眺めるだけに戻る。

すばらしいメタファーです。

 

そして、アイスクリームの求不得苦。

I'm always remainded of this when I think back to my time early on living in the monastery and one particular situation.

I found myself sitting down for lunch one day.

It's summer.  It's outside.

It's really hot, and you only get two meals a day in the monastery.

And there's not a lot of variety as you can imagine, 

So food actually becomes quite a big thing.

So when I looked over and saw them handing out ice cream instead of the usual curryed vegetables, I got really excited.

I didn't even see that happening in my mind, actually.

I was so excited I got completely carried away with it.

What I didn't realize was that the person handing out the ice cream was being followed by somebody else who was handing out the usual rice and curried vegetables, and the ice cream was being pushed to the middle of the table, making it very clear that the curry and the rice was to be eaten before the ice cream.

Now in this particular monastery,  you had to take about an hour to eat the food, so you're eating incrediably slowly.

And obviously, that meant that the ice cream was just gonna sit there.

So in my mind, I went from a place of real, genuine excitment...

I hadn't seen ice cream for a long time.

...to feeling a little bit confused, a little bit frustrated, and quite anxious as I sat and watched the ice cream melt in the summer sunshine, until eventually, there was just a feeling of ill will in my mind where I really kid of just resented the whole situation.

All I could think about was the story in my mind of the ice cream that could have been.

I eventually came to a place of acceptance and realization that I was never gonna get to the ice cream anyway.

You can look at the story and say, "Well, that's fine. It's just ice cream."

But you could replace the ice cream in that story with anything

 

私がいつも思い出すのは、僧院に入りたての頃のある場面です。

暑い夏の日、私は昼食の配膳を待っていました。

僧院の食事は1日2回で種類も限られていますから、食べ物は特別なものでした。

その日はアイスクリームが運ばれてきて、私は大興奮しました。

このあとどうなるかも知らずに喜んでいました。

そして、その後ろからはいつもの食事…カレーと野菜が運ばれてきました。

テーブルの中央に置かれたアイスは当然、食事のあとに食べることになります。

私のいた僧院は食事を1時間かけてゆっくり食べる決まりでした。

その間 アイスは目の前に置かれたままです。

久しぶりのアイスクリームに私の心は釘付けでした。

頭は混乱とイライラでいっぱいです。

アイスクリームが暑さで溶ける不安に支配されました。

その状況に言いようのない感情が湧き、やがて怒りさえ覚えました。

アイスクリームを食べることだけ考えていたからです。

最終的にアイスクリームを食べられないことを悟り、受け入れました。

この話を聞いて、「たかがアイスクリームじゃないか」と思うでしょう。

でも、アイスクリームはなんにでも置き換えることができます。

 

食べられないアイスクリームが溶けていくのを見せるなんて、いじわるな修行だと思いましたが、仏教では死体が朽ちていくのを見せる修行もあります。実際にアイスクリームを見せたからこそ、アンディの記憶に鮮明に残っているのでしょう。

 

伊豆高原のやすらぎの里や友永ヨーガ学院で数回の断食を体験しているので、この話はリアルに想像できました。普通食を食べている人のとなりで、薄い味噌汁だけとか、駅から友永ヨーガ学院に行くまでに目にするファストフードの店。

一見、 満ち足りているようで、得られないものはたくさんあり、そこから苦しみが生まれています。

  

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やすらぎの里、養生食コースの夕食。

もちきび入り五分づき米、大根と人参、凍豆腐の味噌汁、水菜の塩漬け、ブリの塩こうじ焼き、ほうれん草と菊花の三杯酢和え、ふきの五目煮、茶わん蒸し。

断食コースの人たちを思い、ありがたい気持ちでゆっくり食べていました。1週間、お菓子を食べずに過ごしましたが、目の前にアイスクリームを置かれたら、心が大きく動揺したことでしょう。