翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

平易な言葉で核心を突く

昨日は阿佐ヶ谷七夕祭りの占いイベントの初日でした。
タロットバー・アーサにお越しいただいた方、どうもありがとうございました。
10分という限られた時間なので、筮竹ではなくイーチン・カードを使いました。お客様ご自身が自らの答えを引き寄せていくようで、改めて易神の存在を実感しました。

原稿書きや占いに加えて、新しい試みとして今年の1月から通い始めた日本語教師養成講座。
この7月から実践演習へと進みました。

半年間の基礎理論は、先生との相性もよく、とても楽しく学べました。
実践演習は、一人8分で与えられた課題の模擬授業を行います。

基礎理論と一転して、学校に通うのが気が重くなりました。
というのは、「語彙コントロール」がものすごく苦手だから。
外国人への日本語教育は、日本語のみを用いる直接法が基本です。学習者が習った範囲の言葉だけを使って授業を進めなくてはいけません。これが「語彙コントロール」です。

ライターの仕事は、同じ単語を重ねて使うと原稿が単調になるので、同じ内容をいかに表現を変えて書くかに知恵を絞ります。そうした作業を30年近くやってきたので、いきなり使用語彙が制限されても適応できません。

授業も少しでもおもしろくしたいという気持ちから、使ってはいけない言葉が次々と出てきて、先生や生徒同士から「○○という言葉は学習者にはわかりません」という講評が容赦なく飛んできます。
もちろん英語も使用不可。母語が英語ではない学習者にも平等な授業を行うためです。

もともと私は正統派の日本語教師になるつもりはなく、教える対象はフィンランド人で、日本語というより日本文化を教えるのが目標です。
とりあえず日本語教師の資格を取っておけば、何かの役に立つかもしれないと学校に通い始めたため、日本語学校への就職を目指すクラスメートに比べると、直接法へのモチベーションはかなり低めです。

講座の前に教案を作り、模擬授業が終われば、講評を踏まえて教案を書き直して提出。それと同時に次回の教案作り。
これを半年間繰り返して、さらに3ヶ月の実習(実際に外国人学習者に教える)を終えて、420時間の講座修了となります。専攻とは関係なく四年制大学を出ていれば、420時間受講で試験を受けなくても自動的に資格が取れるということで、学校に入ったのですが、やはりそんなに安直なものではありませんでした。

しかし、考えてみれば、これは占い鑑定にも通じる訓練です。
鑑定を始めた頃は、自分がちゃんと勉強した占い師であることを伝えたくて、やたらと専門用語を乱発して、お客さんにはあまり伝わっていなかったことがよくありました。易で得られた卦の卦辞や爻辞を漢文でそのまま伝えても、記憶力の証明にしかなりません。
あるいは、得られた象意をすべて伝えようとしても、お客さんを混乱させるだけです。

むずかしい言葉を使わず、さらりと核心を突くのが達人。
占い鑑定も日本語授業も、そうした域に到達したいものです。


フィンランド・セイナヨキの図書館のマンガコーナー。フィンランド語に訳されていますが、ヘンリク君によれば、オタク・スチューデントは原語で読みたがるらしいので、日本語教師の需要も少しはあるはずです。