ウディ・アレンの名言。
Eighty percent of success is showing up.
成功の80%は姿を見せること。
showing upとは、姿を見せることに加え、starting(取りかかること)という意味があります。
「そんなの当たり前だろ」と思うところですが、すべての開運の基本じゃないかという気がしてきました。
昨年、日本語教師養成講座に通っていたとき、座学の基礎理論ではやる気満々だった人がいました。実習では担当箇所を決めて一人8分ずつ模擬授業を行うのですが、その人は最初の回で行き詰まって何も言えなくなり、そのまま来なくなってしまいました。
私も実習では何度も失敗して、行きたくない日もありました。でも、「ここで休んだら、そのままずるずる行かなくなってしまう」と思って乗り越えてきました。日本語教師の資格は420時間の講習が義務付けられているので、とにかく出席しなくては話にならないのです。
そして、実習を終えて資格を取ったとしても、実際に働き始めるのを躊躇する人がいます。
私もそうでした。「とりあえず資格だけ取っておけば、将来いつか役立つかもしれない」「1年以上もがんばってきたのだから、少し休んでもいいかも」と思ったものです。
でも、この勢いで就職しなくては、一生、日本語教師として働くことはないかもしれません。意を決して募集サイトを覗き、履歴書を送りました。30年近くフリーランスで気ままに働いてきた私には高いハードルでしたが、とりあえず勢いだけで面接と模擬授業をこなしました。
これと同じことが以前にもありました。
大学を卒業しても就職口があまりなく、不本意ながらも事務職で働き始めました。その時、コピーライター養成講座というのがあると聞き、会社帰りに通い始めたのでした。時代が時代なので、花嫁修業として料理やお茶を習っている同僚も多く、「会社帰りのお稽古事」と言っておけば何の問題もありませんでした。
単調な事務作用に飽き飽きしていたところだったので、コピーライター養成講座はとても刺激的でした。課題ごとに評価されるのがうれしくて、熱心に通いました。修了すると就職先も紹介してくれるというので、広告制作会社にコピーライターとして就職。同級生の大半は「私には無理」と尻込みしていましたが、私は習ったことを実際に活かしてお金をもらいたかったのです。前の就職先は、結婚が決まって2、3年で辞めるOLがほとんどだったので、何の問題もありませんでした。
その後、雑誌の原稿も書くようになって、フリーランスのライターとして気が付けば30年近く。
たまたま書いた占い原稿がきっかけで編集者の勧めがあり、占い学校に通うようになりました。
そこでまた似たような光景が。「人を鑑定するにはまだ勉強が足りない」と延々と講座に通い続ける人がいる一方で、次々と舞い込む占い原稿依頼をこなすうちに、占いが生業となってしまいました。
そして、日本語教師養成講座。同じパターンを繰り返し、教壇に立つことになったわけです。
行き当たりばったりで勢いだけで生きてきましたが、退屈することはありませんでした。
もっとのんびり生きてみたいとも思うのですが、それはもう少し先の楽しみに取っておくことにします。