翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

霧の中からYouTuberが現れた!

サンジャンピエドポーからいよいよ出発。

前日、アンジェラたちを出発の門まで見送って予習していたので迷うことはありませんでした。一気にピレネーを越えてロンセンバーリェスまで行くなら午前7時前に出発することが推奨されていますが、私は途中のオリソンの山小屋で一泊します。

天候は朝のうちは雨でしたが、そのうち晴れてきました。暑くもなく寒くもなく歩きやすい気候です。バックパックは山小屋まで運んでもらっているので、身軽なハイキングです。

 

3時間半ほど歩いてオリソンに着くはずですが、霧が濃くなってきました。山道をあるいていたのに、途中から舗装された道になり、追い越していく巡礼者もいません。もしかして、別の街に出る道に迷い込んだのでは? フランスのWi-Fiを買ってないので地図で確かることもできません。

引き返そうかどうしようか迷っていると、霧の彼方から歩いて来る人がいます。助かった! あの人に聞いてみようと待ちましたが、なんだかようすがおかしい。1人なのに大声でしゃべっているのです。

ようやく近くまで来たので「これはオリソンへの道ですか?」と声をかけました。

「そうです。私に任せなさい」とやけに芝居がかった言い回し。YouTuberのロビンでした。カリフォルニア出身で、イタリアに恋い焦がれて移住したという経歴の持ち主でフランス人の道は2回目です。

 



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この時代にGoogleマップさえも使っていないローテク日本人として4分40秒あたりから登場しまています。コメントに"poor girl"とあり、いくらなんでもガールはないだろう突っ込みたくなりました。

 

無事にチェックインしてシャワーを浴びて併設のレストランでお茶を飲みながらディナーを待ちます。ロンセンバーリェスへ向かう巡礼者が一通り過ぎ去ると、後は宿泊者ばかり。あちこちで自己紹介しながら会話が盛り上がります。

ひときわ印象的だったのがアメリカ人のマイクとシンガポール人のメラニーカップル。自分たちを「カミーノフリーク」だと言い、2012年にカミーノと恋に落ちて以来、毎年異なる道を歩いているそうです。コロナで3年間のブランクができたため、今年は久々にフランス人の道をあるきます。ジョークを連発するマイクの話がおもしろくて、翌日のロンセンバーリェスでもじっくり話を聞かせてもらいました。

そして韓国人のスンヒと会ったのもこの日。かわいいお嬢さんだと思ったら40代だと自己紹介されました。レオンからサンティアゴデコンポステーラまですでに歩いた経験があり、今年はサンジャンピエドポーから始めることにしたそうです。カミーノブルーという言葉を教えてもらいました。帰国後にカミーノが恋しくてたまらなくなる現象。今回はなんと会社から3ヶ月の休暇をもらっているそうです。カトリックの洗礼名はテレサ。宗教的に正しい巡礼です。

 

夕食がデザートタイムとなると、恒例の「ホワイ・カミーノ」タイム。約50人の宿泊者が名前と出身国、なぜスペイン巡礼に出たかを順番に語ります。お遍路の同行二人を紹介したら、「テレビで観た、いつか行ってみたい」と声をかけられました。

 

東洋人はメラニー、スンヒ、私の3人だけ。本名の「明子」から「アキ」と名乗ることにしましたが、翌日から「ハーイ、アキ」と声をかけられても相手の名前を覚えていないのでちょっととまどいましたが、標準的な行程よりかなりゆっくりめに歩くので、みんなどんどん先に行ってしまうことでしょう。