加齢とともに代謝が悪くなり、気を付けていないとすぐに体重が増えます。遺伝的にも太りやすい体質です。
伊豆のやすらぎの里や荻窪の友永ヨーガ学院で断食をやってみて、食に対する執着が強いことを実感。そして、戦後の食糧難に成長期だった親は出された食事を残すことを許しませんでした。
人間の長い歴史のほとんどは飢餓との闘いであり、脂肪を蓄えられる人間だけが生き延びました。スリムなマラソンランナーが何十貫もの寿司をぺろりとたいらげるという話を聞き、氷河期なら真っ先に餓死するタイプだと思いました。
温泉やサウナは好きだけれど、施設によっては素泊まりができず二食付きのプランしかないところがあります。大浴場はすばらしいけれど、夕食を食べ過ぎて部屋でごろごろするしかなかった苦い思い出も。
伊豆のやすらぎの里の普通食コースでは、一食500カロリーで一日二食、合計1000カロリー。朝食が午前10時で昼食はなし、夕食が午後6時です。若い人には足りないでしょうが、私にはちょうどいい量でした。そして、旅先で食事のことを考えなくていいのはなんて気楽なんだと思いました。
一人旅の食事にはけっこう悩みます。東京にはおひとり様歓迎の店もありますが、地方では女性一人客はあまり居心地がよくありません。朝は喫茶店のモーニング、昼はピークを外して遅めにして夜は無料のドーミーインの夜鳴き蕎麦で済ませたりします。
先日泊まった釧路空港近くの山花温泉リフレ。一人泊プランもある貴重な温泉宿です。
朝食だけのプランもあったのですが、薬膳夕食というのに惹かれて一泊二食プランにしました。
別名、農村都市交流センターというだけあって野菜がとてもおいしくて、釧路だから海産物もすこぶる美味。
クコが添えられたお造りは新鮮だし、天ぷらの衣にはひじきが入っています。そしてサラダには豆乳マヨネーズであえたイカとホタテ。これだけでメインになります。
阿寒ポークと野菜、チーズの鍋物に火が通る頃にはすっかり満腹になってしまいました。ご飯は北海道が誇るななつぼし。親の教えでご飯を残すことができず、鍋物が食べきれませんでした。
前泊の釧路のホテルは素泊まりだったので、朝は釧路駅のベーカリーカフェでパンとコーヒー、昼食は抜いて臨んだのに。昨年の夏、万座温泉の夕食の量が多すぎて廃棄前提というツイートが炎上しましたが、宿側としては量が少ないというクレームを避けるために大食漢に基準を合わせることになっているのでしょう。
翌日の朝食。
量はちょうどよかったのですが、ご飯を少なめにと言い忘れて、ななつぼしがたっぷり盛られました。鍋は卵とハム。ケチャップが添えられていないのは卵が絶妙の味付けされていたから。ふきの煮物が絶品。給仕担当の女性は、ふきなんかそこらへんに生えていると豪快な対応でした。
飽食の時代は、飢餓どころが空腹になることがめったになく、誘惑に負けて食べ過ぎてばかり。アルコールにしても、祭りなど特別な行事の時だけ口にできたのに、現代はいつでもどこでもお酒が買えます。
飢えることもなく、好きな時にアルコールが飲める状況だからこそ、空腹とシラフの状態は貴重だと思い至った旅でした。