映画『リメンバー・ミー』を観ました。
日本公開からけっこう時間がたっているのですが、連休中、新宿の映画館は満員。吉祥寺なら空きがありました。
この映画を見たいと思ったのは、日本語学校の作文クラスでメキシコ人学生が「死者の日」について書くことが多いからです。
死んだ人が現世に戻ってくるのが「死者の日」です。
各家庭では祭壇を設け、故人の写真を飾り、故人が好きだった食べ物やお酒をお供えします。日本のお盆みたいです。
そして「死者の日」に欠かせないのが陽気なガイコツ。「メキシコで『死』はこわくない。死を笑うんだ」と、メキシコ人のある学生は書きました。
「死者の日に、誰と会いたい?」「あなたが死んだら、祭壇に何を置いてほしい?」という質問をメキシコ人学生に投げかけます。
ワンピースとナルトの漫画を祭壇に? あの世でも漫画が読めれば、楽しいでしょう。
メキシコ人だからテキーラを祭壇に? 飲みすぎないようにね。あ、あの世には二日酔いなんてないのかな。
『リメンバー・ミー』では、死には2種類あります。
「第一の死」は、生物学的な死。魂が死者の国に移ります。
「第二の死」は、現世の人から忘れ去られてしまうこと。死者の国からも存在が消滅します。死者の国は、人の記憶で成り立っているのです。
メーテルリンクの『青い鳥』を思い出しました。
チルチルとミチルが思い出の国を訪れて、祖父母と再会します。
「私たちはいつでも、ここにいて、生きている人たちが会いに来てくれることを待っているんだよ。お前たちが最後に来たのはハロウィーンだったね」とおばあさん。
「え、あの日は、風邪で寝込んでいてどこにも行かなかったよ」とチルチルが答えます。
「でも、私たちのことを思い出しただろう? 私たちのことを思い出してくれるだけでいいんだよ。そうすれば、私たちは目覚めて、お前たちに会うことがでくる」とおばあさん。
そしておじいさんはこう言います。
「一生を終えて、眠るということはよいことだよ。でも、時々目が覚めるのも楽しみなものだ」
こう考えると、死もそんなに悪いものじゃないという気がします。
そのうちだれも思い出してくれなくて第二の死を迎えても、それはそれでいい。
そして、生きている間は、できるだけ死者を思い出したいものです。