意志が弱く、先送りすることが多い私。これではダメだと、繰り返し読んだのがこの本です。
- 作者: ケリー・マクゴニガル
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2013/04/26
- メディア: Kindle版
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こちらは原書。日本語を先に読んで、重要なところは英語で読み直しました。
- 作者: Kelly McGonigal
- 出版社/メーカー: Avery
- 発売日: 2013/12/31
- メディア: ペーパーバック
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教わることの多い本ですが、読んだだけでは何も変わりません。
それどころか、「意志力についての本を読んだ」ことで満足し、ますます怠惰に流されてしまう傾向が…。読書によって知識を得るのはすばらしいことですが、この手の本は、実践を伴わないと意味がありません。
3月中旬のヨーガ断食は、意志力について考えるいい機会でした。
断食はまさに意志力が試されるものですし、自分一人では挫折することも、優れた指導者や仲間のおかげで乗り越えられました。フリーランスとして一人で働いている私にとっては、貴重な体験です。
しかし、断食期間が終わればすべてよし、というわけではありません。むしろ復食期間こそ重要です。ここで失敗すると一気にリバウンドです。「断食とは復食にあり」という友永淳子先生の言葉を冷蔵庫に貼るという人もいました。
断食から復食4日目までは何を食べるかテキストに指示されているので、迷いはありませんでしたが、5日目からはお粥がご飯になり、副菜も普段の3分の1〜4分の1の量を食べることはできます。油もの、肉、魚、卵は避けるとあるので、いきなりフライや天ぷらは食べませんが、油断するとつい量が多くなります。
復食のむずかしさは「モラル・ライセンシング」にあります。
マクゴニガル教授の本に出てくる心理学用語で、「何かよいことをするといい気分になり、自分の衝動を信用しがちになること」。
「がんばったんだから、ちょっとくらいごほうびがなくちゃ」と自らを正当化する例がたくさん出ています。
衝動買いをぐっと我慢した人が、家に帰っておやつを食べたり、ダイエットが順調に進んでいることを自覚するとリンゴではなくチョコバーを選ぶなど。
マクドナルドのメニューにヘルシーなサラダを加えると、ビッグマックの売上が驚異的に伸びるのは、ダイエットの機会が訪れただけでいい気分になり、実際に目標を達成したような満足感を覚えてしまうからだそうです。
そして、「あとで挽回できる」という悪魔のささやき。
私たちは先のことを楽観視してしまうせいで、やるべきことがあってもあとでやろうと思うだけでなく、あとになればかんたんにできると思いがちです。心理学者らの研究によって、私たちは今日よりもあとのほうが自由な時間があるはずだという、まちがった予想をすることがわかりました。
Our optimism about the future extends not just to our own choices, but to how easy it will be to do what we say we will do. Psychologists have shown that we wrongly predict we will have much more free time in the future than we do today.
対策法もちゃんと書かれています。
よいことをしたのだから自分を甘やかしてもかまわないと思っているのに気づいたら、ちょっと落ち着いて、それがごほうびに値するかどうかではなく、自分は「なぜ」よいことをしたのかと考えてみましょう。
The next time you find yourself using past good behavior to justify indulging, pause and think why you were "good", not whether you deserve a reward.
そもそも断食をしようと思ったのは、体を軽くしてダンスのレッスンを長く続けるため。それから、日が暮れたらついアルコールを飲んでしまう悪癖を治すため。
これから一生、お菓子やビールを楽しまないというわけではないけれど、なし崩し的に手を出さないように気を付けたいものです。
明日からがんばるんじゃない…今日…今日だけがんばるんだっ…!今日をがんばった者…今日をがんばり始めた者にのみ…明日が来るんだよ…!
『賭博破戒録カイジ』より。
まさにそうです。今日は怠けて明日からがんばろうと流されていたのでは、いつまでも明日は来ません。