風水で最も重視されるのは、玄関。
内と外の境界線であり、社会的な運気はすべて玄関から入ってきます。
開運のための第一歩は、玄関を整えること。
無造作に靴を脱ぎ捨てるのではなく、きちんと揃えましょう。
そして、靴の手入れを。
「足元を見る」という言葉がありますが、ネットのない時代、貸金業者は靴をチェックしていくら貸すかを決めていたそうです。高そうな服を着ていても、靴がよれよれだったり汚れていると、かなり困窮して稼ぐ力も失われているからです。
ボブ・ディランの「テーマ・タイム・ラジオ・アワー」は毎回、一つのテーマに沿った曲をディランが選んでかける番組ですが、先日は「靴」がテーマでした。
ディランが紹介した靴に関するエピソードは、まさに運気に関するものでした。
(以下の文章は、ディランの英語を書き起こしたものではなく、ピーター・バラカンの解説を元にしています。ピーター・バラカンの『ラジオのこちら側で』(岩波新書)によると、この番組のプロデューサーは数々の高視聴率番組を手がけたエディ・ゴロデツキー。4〜5名のリサーチャーを使って丁寧に制作された番組です。選曲だけでなく添えられるエピソードも味わい深く、さすがディラン、道楽でDJをやるにしても、かなり本格的です)
まず、ロック史上、最も有名な靴の曲「ブルー・スエード・シューズ」。
この曲を作ったのは、カール・パーキンス。
サン・レコードで発売され、全米にプロモーションするため、ペリー・コモ・ショーに出演することに。
そのため車で移動中、前に走っていたニワトリを運搬するトラックに追突。そのまま入院となり、病室のテレビでエルビス・プレスリーが「ブルー・スエード・シューズ」を歌うのを見てしまうのです。
カールが入院してプロモーションができないため、レコード会社はエルビスが歌うバージョンをプッシュし、それが大当たりしました。
以来、カールは二度と同じような勢いを取り戻すことができなかったのです。
なんとも気の毒な話ですが、カールはミュージシャン仲間から高く評価されていて、ポール・マッカートニーと曲を作ったりレコーディングしたと聞き、ほっとしました。
そして、「チャーリーズ・シューズ」のビリー・ウォーカーのエピソードは悲劇的です。
カンザスシティーでのショーに出演していたビリーは家族から緊急電話を受け、すぐに実家に帰らなくてはいけなくなりました。
電話でのやりとりを聞いていたホープショー・ホーキンスが飛行機のチケットを譲ってくれました。「他の出演者と一緒に帰るから大丈夫」と。
ホープショー・ホーキンスの乗った小さなチャーター機は墜落し、他のミュージシャンとともに命を失いました。
その後何年間もビリー・ウォーカーは悲しみと罪悪感のため、亡くなった友達の話は決してしなかったそうです。
そのビリー・ウォーカーも2006年に妻やバンドメンバー二人と自動車事故で亡くなっています。
「靴」がテーマの回で、こんなにぞくっとするエピソードを聞くと、靴はやはり運気と深く関係していると改めて思いました。
玄関の靴は常に向きを揃え、定期的に磨こう。
新しく買うなら、見た目も大切ですが、履き心地のいい靴を選ぼう。
いつも自分に合った靴を履いていれば、きっと悪運を避けることができるはずです。
ヘルシンキ中央駅そばに立つレニングラード・カウボーイズの像。巨大リーゼントにサングラス、ソ連の軍服のコスプレ。そして、妖精が履くような足先がくるっと丸まった黒い靴(ペンギンシューズ)がトレードマークです。