翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

食欲は幻想

伊豆高原のやすらぎの里から俗世に戻りました。

健康的なライフスタイルを身に付けるはずだったのですが、誘惑が多く元の木阿弥になりつつあります。

やすらぎの里の大沢代表は「日常生活でエクササイズの習慣があるのなら、ここではのんびり過ごしてください」とおっしゃってくださったのですが、東京都の緊急事態宣言によりスポーツクラブが休館になったのが痛手です。私は音楽がないと体を動かせないし、ズンバのレッスンが毎日の生活を支える基盤でした。

 

スポーツクラブは不要不急の外出とされていますが、ピラティスのクラスのご高齢の会員は「コロナにかかるのも怖いけれど、運動の機会がなくなって体が衰えるほうがもっと怖い」と言っていました。ズンバはお祭り騒ぎのように自由に動くのが楽しかったのに、人数制限、マスク着用、声出し禁止、テープで仕切られた個人スペースでの窮屈なダンスで我慢してきました。しかも60分クラスが30分に短縮。ぜいたくを言ったらきりがありませんが、思い切り体を動かせる日が待ち遠しくてしかたありません。

 

やすらぎの里ではウォーキングが推奨されていました。自然に恵まれた伊豆高原を歩くのは気持ちがいいのでしょうが、私はひたすらガルシア=マルケスの自伝を読んでいました。海が一望できるテラスは午前8時を回ると日差しが強くなってきます。読書に最適なのは早朝。600ページを超える長編ですし、登場人物のラテン系の名前、「ヘルマン・バルガス・カンティーヨ」「アルバロ・セベータ・サムディオ」「アルホンソ・フエンマヨール」はメモしておかないとごちゃごちゃになってしまいます。6時半から朝のヨガが始まるので、5時に起きて集中して読みました。

 

ご常連たちはチェックアウトの際に次の滞在を予約していました。いかにも稼いでいそうな女社長や資産家っぽい親子連れ。私はまだそのレベルに達していないけれど、年に一度ぐらいリセットのために滞在したいものです。

ある程度の年をとったらダイエットもほどほどにしたほうがいいみたいです。

「あなたは着物を着る? 着物だと、首のしわが目立つからあまり体重を落とさないほうがいいわよ」と年配のマダムにアドバイスされました。着物とは縁がありませんが、老女はちょっとふくよかでにこにこしているのがいいのでしょう。

 

かといって、食欲のままにぶくぶく太ると見苦しい。

やすらぎの里では、食欲は幻想の一種だと悟りました。1日2食1000カロリーの養生食でも、食堂で断食コースの人たちを目にすると、自分はものすごく食べている気になりました。それでいて、デザートは果物しかでないので、甘いものが食べたくてしかたなくなりました。

 

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大室山のドライブに連れて行ってもらい、遅咲きの桜の葉は桜餅を包むのに使われていると聞きました。そのとたん、「桜餅を食べたい」という欲望が頭の中を駆け巡りました。でも、自宅に戻って白ワインの日々を送ると、桜餅を買うこともありません。白ワインにしても、やすらぎの里では一度も飲みたいと思わなかったことを考えると、食欲はすべて幻想なんだと思い至りました。

 

海外旅行には当分行けないだろうけれど、食欲を巡る冒険は発見だらけです。