子どものときに夢中になって読んだのが『赤毛のアン』と『アンネの日記』。昔から外国かぶれでした。
『赤毛のアン』のアンはAnnじゃなくて、Anne。同じ発音でも、綴りが違うと受ける印象も変わってくるので、「eのついた綴りのアンで呼んでください」とマリラに頼むエピソードが印象的でした。日本人の名前も、同じ発音でも漢字が違うとイメージはがらりと変わります。
そして『アンネの日記』は物書きを目指す世界中の女の子のバイブル的存在でしょう。アンネの生涯は短く、悲惨な結末を迎えるものでしたが、自分の書いた日記が世界の人の心を打つなんて、文学少女の夢です。
ある日の日本語学校の作文クラス。テーマは「私の国」。
カナダのトロントから来た女子学生が書いた「私の国の有名人」はトルドー首相とセリーヌ・ディオン。
うーん、たしかに有名だけど、あなたの国の少女文学で日本でとても有名なのがあります。『赤毛のアン』は日本独自のタイトルなので、グリーンゲイブルズのアンと言い換えます。アメリカではほとんど読まれていないそうですが、本国のカナダの女の子なら知っているんじゃないかと一縷の望みをかけました。
さすがにカナダの女子学生は『赤毛のアン』を知っていました。アンの国から来た女の子に日本語を教える日が来るなんて、中学生の私は想像もしていませんでした。
そして、カナダの女子学生の隣に座っていたのはオランダの女子学生。
アンネ・フランクはオランダ人ではありませんが、アムステルダムで潜伏生活を送りました。「アンネ・フランクを知っていますか」と聞くと、「私の家はアンネ・フランクの家のとても近くにあります。毎朝、アンネの家の前を通って学校に行っています」とのことでした。
「ごめんなさい、私の日本語が上手じゃありません。アンネ・フランクについて上手に書けません」とオランダ人の女学生。
「あやまらないでください。あなたはアンネ・フランクの家の近くに住んでいます。それだけで、私はとても感動しています」と私。
こういうやりとりがあるから、日本語学校の教師はやめられません。
愛媛県の伊予大島の道の駅にいた二匹の猫。
祖父がこの島の出身なので、ルーツ探しのために出向きました。
「餌をやらないと、猫が店に出ちゃうんで」と照れくさそうに語ったお店の人が印象的でした。
この時に会った猫は、再度訪問すると、もういませんでした。痛ましいことですが、新しい猫がいて、犬と出会いました。こうやって人生は回っていくのでしょう。