翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

天剋地冲のホームステイ

4週間のホームステイを終えて、ソフィアがフィンランドに帰国しました。

別にトラブルもなかったのですが、うちではあまり会話がありませんでした。フィンランド人はもともと無口な国民性ですから、普通のことなのでしょう。

去年のヘンリク君があまりにも素晴らしくて、比べるのはよくないのですが、つい思い出してしまいます。
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去年と違って、私が日本語教師として働き出して、あたふたしていたのもよくなかったのでしょう。
知らず知らずのうちに「忙しい」オーラを出していて、ソフィアが遠慮したのかもしれませんし、家に帰っても自分の学校の教師がいるというのは堅苦しいものでしょう。

じゃあソフィアが日本で楽しくなかったのかというと、そうではなくて、学校では友達と楽しそうに過ごしていいる姿を目にしました。担任の先生に尋ねると(いかにも過保護な母親みたい)、「積極的に発言する学生ではないけれど、しっかり授業を理解している」とのことでした。

欧米からわざわざ日本に語学留学する学生のオタク比率はかなり高く、学校に来ないで秋葉原に入り浸りという学生もいます。
そんな中でヘンリク君は少数派で、「オタク・スチューデントとはあまり気が合わないんだ」と学校からまっすぐ帰ってきては、阪神タイガースの試合をテレビ観戦しながら日本語の野球用語を勉強していました。
ソフィアはしょっちゅう友達と遊び歩き、夕飯も食べて帰ることが多く、手間がかからないのはいいのですが、「これじゃあ、まるで下宿屋みたい」と思ったものです。
視点を変えれば、日本語学校内ではソフィアはリア充だったのでしょう。

ホームステイの受け入れを決める前に渡される情報は学生の氏名、性別、生年月日、国籍、出身都市、メールアドレス。
我が家はフィンランド人学生限定と伝えているので、この夏は二人の学生のプロフィールが送られてきました。一人は3ヶ月間の長期だったので、4週間のソフィアを受け入れることにしたのですが、気になることがありました。

生年月日がわかるので、四柱推命の命式を立てることができます。
四柱推命では日干を自分自身と見ます。ソフィアの日干は私と天剋地冲。甲乙丙丁…の天干が剋する関係で、子丑寅卯…の十二支が対角線上にある冲の関係です。たとえば、日干が甲子(きのえね)だったら、甲が剋すのが戊、甲が剋されるのが戊、子の冲は午ですから、庚午、戊午が天剋地冲となります。

天剋地冲は、古い占いの本には、最大の凶と書かれていることも。ちょっとまずいんじゃないか…。でも、「占いで相性が悪いので…」なんて断ると、あやしい人と思われ日本語学校の教師の職が危なくなるかもしれません。

天剋地冲は本当にうまくいかないのか検証してみるのもいいんじゃないかと受け入れてみたのですが、対立はしないものの、化学反応も起きず、淡々と日々が過ぎていきました。

The meeting of two personalities is like the contact of two chemical substances: if there is any reaction, both are transformed.
二つの人格の出会いは、二つの化学物質の接触のようなもの。もしなんらかの反応が起きれば、両方が変質するのだ。

学生の受入れ担当マネージャーに話を聞くと、部屋と食事の提供だけと割り切っているホストファミリーもいて、去年のヘンリク君と我が家のような濃密な関係のほうがレアケースのようです。実費(食費と光熱費)として謝礼が出るし、空き部屋があれば2人、3人とまとめてホストしているお宅もあるそうで、家族の食事を多めに作って提供するスタイルなら利益が出ます。しかも、エアビーアンドビーより身元がしっかりしていますからリスクはありません。
日本人学生がアメリカやイギリスに語学留学して、ホストファミリーが謝礼目当てであまり交流がなくがっかりしたという話を聞きますが、その逆バージョンが日本でも起こっているのでしょう。

人間だから、誰とでも仲良くすることはできません。だからといって、対立する関係になるわけでなく、適度な距離を置いて平和に接することもできます。そんなことをソフィアの滞在から学びました。


事前のメール交換で、ソフィアが東京で一番行きたいのは三鷹ジブリ美術館だと知りました。夏休み中のチケット獲得は激戦でしたが、なんとか手配できました。