翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

ムーミン谷の掟

今年、フィンランドから我が家に迎えたアンネとヘンリク。

二人ともムーミンの大ファン。特にヘンリクはトーベ・ヤンソンと同じスウェーデンフィンランド人なので、ムーミンへの愛着はひとしお強いようです。

ヘンリクのお母さんが「フィンランド人と友達になるのは時間がかかるけれど、ひとたび友達になれば、それは一生続く」と言っていましたが、アンネとヘンリクとは、まさにそんな関係です。
一生の関係といっても、そこはムーミン谷の住人のように、束縛もなく風通しのいいお付き合いです。

この本に「ムーミン一家は、たのしくないことはやらない。なにごともたのしくなければ、身につかない」とあります。

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

ムーミンのふたつの顔 (ちくま文庫)

アンネは一人で四国の歩き遍路をやり通したり、今は剣道に打ち込んでいます。新聞記者としてのキャリアと日本はあまり関係なさそうですが、心の欲するままに休暇をめいっぱい使って日本に長く滞在しようとしています。

ヘンリクはまだ18なので、学校の縛りもあるし来年の兵役もあります。
でも、我が家に滞在した3週間はできるだけ楽しく過ごせるように心を配りました。
彼の日本語学校の教科書は『みんなの日本語』で、私が通っている日本語教師養成講座で使用しているのと同じ。ヘンリクを生徒役に仕立てて教え方の練習ができるかと期待したのですが、「家に帰ってまで教科書の勉強はしたくない」というので、一切やりませんでした。
その代わり、阪神タイガースの試合中継を観ては、野球用語で日本語を覚えていったものです。
d.hatena.ne.jp

これからの人生で新しい友人ができるかどうかわかりませんが、フィンランド人に限らず、こんな人間関係が実現できたら素敵です。

それぞれが堂々とわが道をいき、互いに干渉したりしない。たとえ仲のよい家族であっても、求められてもいない忠告をしたり、相手が話したがらないひみつを聞き出そうとしたりはしない。寛容であれ。これがムーミン谷で守るべき唯一の掟である。

先日、「フィンランドが国民全員に月800ユーロ(約11万円)のベーシック・インカムを支給」というニュースがネットを駆け巡りましたが、将来の導入のために調査を開始しただけで、実施されるのはまだ先のことのようです。

ムーミン谷はファンタジーの世界ですから、生きるためにお金を稼ぐ必要がなく、楽しいことだけをしていればいいわけですが、テクノロジーの進化により、労働時間は一気に短縮されるかもしれません。
そして、今の若い世代には申し訳ないのですが、そろそろリタイア後を考えている私は、ムーミン谷のような生活ができるのではないかと夢見ています。

長く生きてきたからといって、求められてもいない忠告をするような高齢者にはなりたくありません。占い鑑定をやっていたせいか、つい「そんなことをしていたら運が下がる」と言いたくなることがありますが、ぐっとこらえましょう。
そして堂々とわが道を行く。人からの評価にも左右されない軸を持ちたいものです。


タンペレムーミン谷博物館