翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

出会いの種を見つけよう

昨年はアドラー心理学がブームとなり、何冊か読んでみました。
心に残ったフレーズは「すべての悩みは、対人関係の悩み」。

たしかに。「人は人、自分は自分」と割り切って、人のことに首を突っ込んだり、人からどう思われるかを気にしなければ、生きるのはどんなに楽になるでしょう。

対人関係から悩みがもたらされる一方で、喜びや楽しさも人からもたらされます。

自宅で仕事をして、打ち合わせも電話やメールで済ませることが多い私は、たまに気の合う人と会うのはとても楽しい。数はそんな多くなくて十分。よく「ネットワークを広げる」なんていう人がいますが、おつきあいが多くなればメンテナンスが大変です。

一回だけ会って、もう二度と会うことがなくても、その時間が充実していれば、それはすばらしい関係です。
そんなことを思うようになったのは、年末の朝日新聞の「ひととき」で77歳の女性による『古都 心なごむ出会い』という投書を読んだからです。

京都育ちで京都在住の77歳の女性が信号待ちをしていたら、見ず知らずのご婦人から「近くで気軽に食事ができる店をご存じないでしょうか」と尋ねられました。
普段外食しないので、はやりの店を知らないので「私もお昼ご飯がまだなので、ご迷惑でなければご一緒してもいいですか?」と答えたところ、驚かれたようだが笑顔で喜ばれ、錦市場近くのお店で温かいおうどんを食べた。
春に息子さんが京都に赴任されて秋の京都観光に招待されたとのこと。

心なごむ時をともに過ごして「楽しいご旅行を。お元気でね」と別れた。
<中略>
繰り返しの日常で、ある日、ある時、小さな楽しみや喜びの種は見つかるものだ。懐かしい友と、楽しいひとときを分かちあえたような出会いだった。

ホリエモンは「ヒマ、飯、誰か」とLINEに打てば、いつでも一緒にご飯を食べる人が見つかるから、結婚なんてしなくても寂しくないというのを雑誌で読みましたが、こんなふうに偶然、路上で出会って交流することもあるわけです。

77歳という年齢ですから、メルアドも交換せず、Facebookの友達申請もせず、ネット上でも会うことはないでしょうが、「懐かしい友」と表現できる感受性の持ち主で、「小さな楽しみや喜びの種」という言葉も素敵です。

そういえば、去年の2月、北海道の温泉ツアーに一人参加して、78歳の颯爽とした女性と知り合いました。
羽田空港で別れてそれっきりですが、あの方のおかげで楽しい旅となりました。これからの生き方のモデルとして参考になりましたし。
d.hatena.ne.jp

新しい出会いを受け入れて楽しむ心のゆとりがあれば、年を取るのも悪くありません。


日向ぼっこ中の奈良の鹿。10月に角が切られます。