カウチサーフィンのサイトで連絡を取り合い、シカゴに住む70代のマイケルを築地と銀座に案内しました。マイケルから「カセットテープ」という言葉が出て、ひょっとしてあれこれモノを溜め込んでいる高齢者なのかなと思いました。
でも、銀座のカフェでゆっくり話した後、鳩居堂に案内すると、こう言います。
「日本の美しいものがたくさんある素敵な店だね。だけど、もう私は旅先でお土産を買わないことにしているんだ」
お土産を買わない旅。私も常に目指しています。買うにしても食べ物だけにしています。
そこで鳩居堂の上階のギャラリーを見学することにしました。
押し花のアート展があり、ナッシュビルで作品展を開いたこともあるという作者の方が創作の解説をしてくれました。きれいな品物を買うのもいいけれど、こうしたちょっとした会話が旅の思い出になります。
風水の原稿を書くことが多く、家庭でできる開運テクニックを紹介するのですが、風水理論なんて知らなくても、余計なガラクタがなく、すっきりした住まいに暮らしている人は金運も上々です。
「気のよどみ」が運気の停滞を招きます。
中には散らかった部屋に住んでいるお金持ちや芸術家もいますが、本人の運の力が強くて気のよどみを跳ね返しているのでしょう。
これは私の実例で説明できます。
私の主な収入は、雑誌や書籍の原稿料です。
縮小しつつある出版業界で、フリーのライターやカメラマン、イラストレーターが「食べていけなくなった」という話をよく耳にするようになったのは2006年ぐらいからです。
ちょうどその年、私は占い学校に通い始めました。
それまでは西洋占星術の原稿を書いていたのですが、編集者は占いならどれも同じだろうと思うのか、四柱推命や九星気学、風水の原稿の注文が入るようになったのです。
本を読んだだけではなかなか頭に入らず、本格的に勉強することにしました。
占い学校に通ったことはライターの仕事に直結し、次から次へと仕事が舞い込みました。
その頃、私の部屋はあまり片付いていませんでした。締め切りに追われていたのと、当時は母の介護のため1ヶ月に一度のペースで神戸の実家に帰っていたのです。
それでも、私の持っている運に勢いがあったため、多少の気のよどみは、跳ね返していました。
金運(仕事運)のつまづきを感じたのは、2011年の東日本大震災から。
未曽有の大災害を目の当たりにすると、占いなんかに頼っている場合じゃないという自粛ムードが蔓延しました。女性誌の占いページは放射能対策に取って代わられました。
私にとって金運の底となったのは、2012年壬辰(みずのえたつ)の年でした。
五行の水は私の財に当たるのですが、壬辰はあまりにも水が多くなり過ぎてコントロールがきかず、沈没。
(ここが四柱推命のむずかしいところです。財に当たる五行が巡れば金運がアップすると単純に読まず、バランスが重要です)
翌年3月の確定申告では青色申告会で担当者に驚かれるほどの収入激減でした。
そこで流れを変えることにしたのです。
たまたまフィンランドにハマりだしたのがこの頃。
フィンランド人はシャイで親しくなるには時間がかかるとさんざん聞かされたので、カウチサーフィンを利用してフィンランド人とつながろうとしたのです。
そのため、旅行者の客室に使えるように狭い仕事部屋を整理しました。
本は再読したいものだけを残し、ネットで情報が得られるリファレンス類はすべて処分。本棚や書類入れは粗大ゴミに出しました。
これで運気は持ち直しました。
カウチサーファーをホストすることで、大いに風通しのいい家になったからです。
金運の悪い人は、財布を黄色にしたり吉方取りをする前に、部屋のガラクタを捨てればいいのにと思うのですが、そういう行動を取らないから、いつまでも低迷しているのです。
整理や掃除のモチベーションを上げる本が好きで、先日、これを読みました。
- 作者: 金子由紀子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2011/01/08
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「風通しのいい家は、物理的な意味ばかりではない」と著者の金子由紀子さんは説きます。
金子さんが好きなのは、「きちんと片づいて、モノが動かない空間」ではなくて、「多少ゴチャゴチャしていても、人もモノもよく出入りする空間」だそうです。
よく、「こんな家じゃ人も呼べない」「人を呼べる家にしたい」と言いますが、「キレイになったら人を呼べる」なんて思っていても、そんな日はなかなか来ません。
だったら、先に人を呼んでしまえばいいのです。
確かに散らかっているけど、それでも人を呼んでしまう。ある程度自分をさらけ出す勇気を持つ。
すると、いろいろなことが動きだします。
散らかっていてもかまわない、とはいえ、やっぱり最低限はなんとかしたい。人が来るという締め切りを設定することだけでも、片づけのモチベーションになります。
風通しのいい家には、どんどん幸運が入ってきます。
カウチサーフィンはハードルが高いというなら、人を招いてみてはどうでしょうか。
お店じゃないから完璧なおもてなしはできなくても、いいじゃないですか。大切なのは、新しい風を入れることです。
フィンランド、セイナヨキ郊外の伝統的な農家。たくさんのお客をおもてなしできる広い食堂がありました。