翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

確実に終わりに近づいている

お正月が来たというだけで自然におめでたい気分になれるのは子供の頃だけ。大人になるとまた年を重ねたと感じます。そして高齢期にさしかかると「門松は冥途の旅の一里塚」。一休の言う通り、門松は新年のお祝いではなく、命が尽きて冥土に近づく一里塚のように見えます。

 

昨年は大谷翔平選手の報道がたくさんありました。

ドジャーズの入団会見後のインタビューで「野球に人生のすべてをささげる理由」を問われ、こう語っていたのが印象的でした。

けがをする度に『いつ終わるんだろう』という不安もあるし、確実に終わりに近づいてるっていうのもあるので。人生が終わる前に、必ず野球選手として終わってしまうので、そこまでにやり残したことがなるべく少ないようにやりたい。

 

人生は必ず終わります。事故で突然死ぬ場合を除けば、徐々に体の機能が衰えて、まず健康寿命が尽きます。

それは自明のことなのに、大谷選手のように明確に意識して生きていません。それどころか、自分が必ず死ぬことを忘れようとする人が大半では。「メメント・モリ(死を忘れるな)」というラテン語の警句があるほどですから。

 

大谷選手のような「やり残したことが少ないように」と考えるにはもう年を取りすぎていますし。そして、昨年は7週間かけて600キロを歩くスペイン巡礼という大きな目標を達成したので、もうやり残したことはあまりありません。とりあえず、今年もスペインに行ってラスト100キロを歩いてサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。

 

やり残したことを探すのと同時に、いつまでもこの穏やかな日々が続くのではなく、確実に終わりに近づいているのだと新年に改めて胸に刻みました。

 

昨年の夏、JALの「どこかにマイル」で長崎へ。軍艦島に行ってみました。

海底炭鉱が発見され、大いに栄えた島。1960年代には人口密度は東京を超えていたとか。当時の住民は、まさか自分たちが暮らしている島が無人島になるなんて想像もしなかったでしょう。

このままの勢いで人口が減少していけば軍艦島のようになる地方自治体が頻発するのかも。過疎の地域のインフラを整備する力が日本にあるとは思えません。GDPがイタリアに抜かれて主要7か国最下位になるなんて、数十年前にはとても想像できませんでした。