門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし
誕生日ではなく元日に年を重ねる数え年の時代には、お正月にこう感じる人も多かったのでしょう。
大晦日、こんなニュースを目にしました。
別府のビジネスホテルで、自称85歳の高齢女性が部屋のトイレで倒れ、搬送先の病院で死亡が確認された。ホテルには5年4か月滞在し、部屋には現金約750万円あり。滞在期間の宿泊費は700万円超で女性はきちんと払っていた。別府市職員と福祉関係者が高齢者施設を紹介したが、「ホテルが一番落ち着く。親族はいない」と拒否。
別府市役所の担当者「身元が分からずに、行政が火葬の手続きをするのは悲しいことだ。なんとか親族を見つけ、弔ってもらいたい」。
市役所の担当者の方は大変だったでしょうが、悲しいどころか、うらやましいと思いました。
コメント欄を見てもそんな意見が大多数。死ぬ直前まで自立して生きていたわけだし、ホテル暮らしには人間関係のしがらみがありません。狭いけど毎日掃除に入ってくれるから部屋はすっきりしているし、光熱費、固定資産税もかかりません。それに別府なら100円とか200円で入れる公共のお湯もあちこちにあります。
5年4か月で700万円なら1カ月11万円ほど。別途食費がかかるけれど、高齢者施設よりずっと快適そう。別府には一泊3000~4000円程度で快適に過ごせるビジネスホテルがたくさんあるそうです。コロナが収まったら、そんな宿を転々と体験宿泊してみたいものです。
そしてこんなインタビュー。
ウラナイ8の玉紀さんが辛丑年の解説で、丑年・丑月・丑日生まれのヒロシを取り上げていたこともあり、興味深く読みました。
「家族に看取られて死ぬのが恐ろしい」のはこんな理由から。
だって、周りは生きているのに”自分だけ死んでいく”んですよ。怖くないですか?
たぶん、「こいつが死んだら遺産が入ってくる」と思っているやつもいるでしょう。いや絶対いる! 嫁や子供ですら多少は思うんじゃないですかね。悲しいのは悲しいでしょうけど、ちょっとは頭によぎるはず。僕、そういうの、すぐ気づくんですよ。
それで、死んだ後に「この人も好きなことやって幸せだったよね」とか、勝手なこと言われるんですよ。その後、すぐに通帳ですよ。お悔みもそこそこに、お金の計算が始まる。そんな状況で、安らかに死んでいけないですもん。
うちの実家の一族だけじゃなかった。子供がいない伯母が亡くなった時も「いくら持っている」が焦点だったし、父はまだ死んでいないのに資産総額を嗅ぎまわろうとする身内もいます。そんな欲にまみれた一族ですから、年下の親族から「子どもがいないあなたの死後の手続きは誰がやるの? 私がやってあげてもいいよ」と言われ、ハゲタカがぶんぶん飛び回っているように感じて背筋がぞっとしました。
ちょっと高くなりますが、サウナと水風呂のあるドーミーインに暮らすのが理想。共立メンテナンスは寮や高齢者施設も運営しているので、いっそのこと死を待つ人向けのホテルを作ってくれたらいいのに。「棺桶でチェックアウト」「霊柩車お迎え付き」とか。
死後の手続き一切を引き受けてくれる生前契約の団体と提携し、すんなり死ねずに入院したり要介護状態になった場合も受け皿を用意しておけば、ホテルにも迷惑をかけなくて済みます。けっこう需要があるのではないでしょうか。子供がいない場合だけでなく、子供がいてもあえて選ぶ人もいるはずです。