我が家は夫婦で小さい3LDKに暮らしています。子供がいないので、それぞれ個室を持っており、玄関横の4畳半が私の仕事部屋でした。
フリーランスのライターとして、自宅で原稿を書くことが多かったので、机と本棚を置いています。
カウチサーフィン、ホームステイで外国人旅行者や留学生を泊めるようになり、私の仕事場はリビングに移動。そのままずるずるとリビングで仕事をするようになり、4畳半はほぼ空き室となっている状態が続いています。
ところが、空き室といっても棚には本と資料がぎっしり、つい買い集めてしまったCDやタロットカード、文房具(ノート、ペン、シール、マスキングテープ、スタンプ…)も詰め込まれています。
ゲストルームとして稼働させるなら、できるだけ棚も空っぽにしたほうがいいのもわかっています。
もう使わないものはばっさり処分したいのですが、購入金額が頭をよぎり、捨てるに捨てられません。
先日読んだインタビュー。
仕事のやりがいがどうこうの前に、このエピソードにしびれました。
年収が1000万円を超え、プラモデルだのスニーカーだの、欲しいと思ったら全種類、全色買いまくる日々。自宅に置けなくなって、古い平屋を借りてぎゅうぎゅう詰め込んでいた。ある日、大家さんから「土地を整理するために平屋を壊す」と連絡が。そこで「中の物も一緒につぶしてください」とブルドーザーで一気につぶしてもらった。
なんともったいないことを!
しかし、この体験があったからこそ、自分にとって買い物が無駄だとわかり、物をいくら買っても幸せにならないと気付いたというのです。
仕事部屋に放置している本、資料、文房具はブルドーザーで潰してもらっても別に困らないし、かえってすっきりするかも。そして服、靴、バッグもこんなに要らないんじゃないか。
この記事を読んで以来、買おうかどうしようか迷うたびに、「要らない物を溜め込んだ小屋をブルドーザーでつぶす」というイメージを思い描くようにしています。「待って! これは要るから!」と取り出したくなる物かどうか自問するのです。
東日本大震災で高齢の両親が暮らす実家が津波で流されたという人から、こっそりこんな話を聞きました。両親は避難でき、命に別状はありませんでした。
「大きな声では言えないのですが、家が流されてほっとした部分もあります。何十年も両親が溜め込んだ物がぎゅうぎゅう詰めで、いつか自分が整理しなくてはいけないとずっと気が重かったので」
店やショッピングサイトをのぞくと「これ、いいかも」「あれば便利」「こんなに安くなっている!」とあれこれ買いたくなります。でも、時間がたつとそれらはブルドーザーでつぶされたり津波で流されてもいい物になってしまうかもしれません。
残された人生のカウントダウンを意識するようになったら、物はなるべく減らしていくこと。
自宅に人を招くのは、楽しみな反面、面倒でちょっと気が重いものですが、生前整理のいいきっかけになります。
フィンランドには、夏用の別荘を持っている人がかなりいます。休暇が長い国なので、自力で建てる人も。
ゲストルームに泊めてもらいました。必要最小限の物だけの空間はこんなに気持ちがいいんだと実感しました。