翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

住まいが変われば、生き方も変わる

長年にわたって女性誌に風水関連の原稿を書いてきました。

「住まいを整えて開運」なんて書いている本人の部屋が、忙しさに追われて荒れ放題ということも数知れず…。

 

新築から20年住んだマンションは、ちまちました3LDKでした。今回、1LDKにリノベして、「住まいの状態は人生を左右する」と実感。

広々とした空間で暮らしていると、「残りの人生を楽しく生きたい」という気持ちになってきます。

 

不動産投資をしている人に今回のリノベの話をすると「貸すのも売るのも3LDKのほうが有利なのに…」と言われました。

死ぬまでこの家にいられるかどうかわかりませんし、いずれは賃貸に出すか売却するのでしょうが、いつになるかわからない将来のために、暮らしにくい空間に我慢するなんて本末転倒です。

 

このマンションを買った時は、資金繰りに頭を悩ませ、ローンをちゃんと返していけるかどうかも不安で、住み心地まで考える心のゆとりがありませんでした。「この広さなら3LDK」という世間の思い込みに従って、標準的な間取りを受け入れたのです。

今回、壁を取り去って「こんなに広かったんだ」とびっくりし、今までなんで窮屈な暮らしをしていたんだろうと思うようになりました。

 

リノベを計画している時は日本語教師を続ける気だったのですが、母を看取って四十九日を迎えるタイミングで日本語学校を去ることにしました。

母の死がきっかけとなったとばかり思っていたのですが、マンションのリノベも影響したような気がします。

 

日本語教師になったものの、私は学校なんて大嫌いだったし、語学学習も苦手。自分がいやだったことを人に強いる気になれず、私のクラスはゆるゆるでした。選択科目だったから、なんとか続いたものの、けっこう無理がある展開でした。

「知的な国際交流」というイメージに固執して、無理やり背伸びして続けていたのです。

リフォーム会社のプランナーと新たな間取りにする打ち合わせをしているうちに、人生のほうも、余計な壁を取り去ればいいと思うようになったのでしょう。

 

断捨離を進めると、ダイエットも成功するという話をよく聞きます。

何もかも溜め込んでしまう性質が部屋だけでなく体にも影響を及ぼすのです。

You are what you eat.(食べ物があなたを作る)ということばがありますが、どんな空間に暮らしているかも、その人を形作る重要な要素です。広ければいいというものではありません。出家した僧侶や修道士には生活空間として狭いスペースしか与えられていませんが、そこに余計な物は何一つないはずです。

反対に、物にあふれた部屋で修行する宗教家というのはちょっと想像できません。

 

ネットフリックスの『人生がときめく片づけの魔法』、若いゲイのカップルが登場する会を見ました。

両親を招待するにあたり、部屋がきちんとしていることで、自分たちが成熟した大人であり、信頼できる関係を築いていることを伝えたいという二人。

 

思わず書き留めた台詞。 

Our home is a reflection of our relationship.

So if our home isn't in harmony, I feel like they might worry that this might be just temporary.

僕たちの家は、僕たちの関係を映し出す。

だから、家がきちんとしていなければ、両親は僕たちの関係が単なる一時的なものだと心配するんじゃないかな。

この二人は若くしてこんなふうに考えられるのに至ったのに、私はずいぶん回り道をしたものだとため息が出ました。 

 

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 フィンランド西部の伝統的な農家の一室。ノキアが携帯電話の生産を始めるずっと前の時代ですが、黒電話のデザインは東西共通なんだと思いました。