9月のフィンランド旅行で最もお世話になったのが、新聞記者のアンネです。
東京でホストしたのは、今年の6月。
日本人でもなかなかできない四国の歩き遍路を一気にやり通したアンネ。仏教のことをあれこれ質問されて答えに窮したことから、英語で学ぶ仏教講座にも通い始めました。
私に最も強い影響を与えたカウチサーファーです。
アンネの住むフィンランド西部の街、セイナヨキでホストしてもらったのですが「好きなだけ泊まっていいから」という太っ腹なオファー。
私の滞在に合わせて勤務している新聞社の休暇を取ると言ってくれていたのですが、たまたまセイナヨキ出身の大物歌手をテーマにしたミュージカルが街の劇場で幕を開けるというビッグイベントがありました。
文化部記者のアンネにとっては見過ごせないネタです。
「私のことは気にしないで、好きなだけ仕事してね」と伝えたのですが、アンネは記者の特権でプレス向けチケットを私に横流しして、一緒に舞台を観ることになりました。
フィンランド語がちっとも身につかなかった私にはちんぷんかんぷんではないかと心配したのですが、歌に合わせた短いストーリーが次々に展開する構成なので、けっこう楽しめました。
セイナヨキの人々にとっておなじみの歌ばかりなので「さあ、みなさん、ご一緒にカラオケを」と舞台から声がかかります。
今や「カラオケ」は世界で通用する言葉になっているのですが、舞台ではバンドが演奏しています。
「あれはカラオケじゃない」とアンネに説明したのですが、フィンランドでは歌詞のテロップが流れてみんなが歌える方式をカラオケと読んでいるそうです。
言葉はその土地ごとに進化していくものなんでしょう。
アンネの書いた記事のタイトルには、「カラオケ」の文字が。
アンネの自宅に3泊、アンネのボーイフレンドの両親の別荘に1泊、合計4日泊めてもらったのですが、アンネは必要に応じて自在に働いていました。
アンネの新聞社に私も出入りしました。誰からもとがめられることもなく、締切前の緊迫感は私が関わった日本の出版社の編集部と似ていると思ったりしました。
何度も来日しているアンネは大の親日家。
小学生のランドセルがとても気に入って、中古の黒いランドセルをゆずってもらい、カメラバッグとして活用しています。「そのバッグはとても素敵。どこで手に入れたの?」とよく質問されているそうです。颯爽としたアンネが背負うと、ランドセルがとても機能的で美しく見えてきます。
アンネからメールがあり、来年もまた日本に来るそうです。
彼女の滞在をどう充実させるか、あれこれ計画を立てるのも、とても楽しいものです。