今年の6月、カウチサーフィンでホストしたアンネ。9月には彼女の住むフィンランドへ。
そして来年の5月にアンネがまた日本にやって来ると聞き、がぜん楽しくなってきました。
今回は3ヶ月間の滞在。
休暇に関してはフィンランドはうらやましい限り。社員が全員、長期休暇を取ることを前提に人事が回っているのでしょう。
アンネからのメールによれば、今回は寮付きの語学学校に入り日本語を学び、昨年の歩き遍路をやり遂げた四国にもまた行きたいとのこと。
「ほかにどこかいいところがあるかな?」と聞かれたので、島根を勧めました。
私も時間を作って一緒に行けたら、ものすごく楽しそう。
親友の風水師・優春翠が故郷の島根・川本町と関東を行ったり来たりするようになって2年目。
「遊びに来て」という言葉に甘えて、秘湯を楽しんだり、お母さんに太巻き作りを教わったりしました。
出雲大社、石見銀山という人気観光スポットを擁する島根ですが、山陰の暮らし自体がとても興味深いものです。
昔ながらの共同体が持続し、同じ日本とはいえ都会のマンション暮らしとはまったく違います。
たとえば巻き寿司を作るにあたり、お米を1升炊いていたという。
1升! そんなに大量に作って食べきれるのか?
祭りや神楽などのイベントで、みんなでご馳走を持ち寄って楽しんでいたのでしょう。
また、優春翠によれば、誰かが亡くなると、お葬式はすべて地域で取り仕切ってくれるので遺族は何もしなくていいそうです。
通夜や告別式の段取りはもちろん、遺族が食べる三度の食事まで運んでもらえるそうです。
孤独死が問題になっている一方で、こんな地域もあるのです。
東京に住む私でさえ、こんなにおもしろいのだから、フィンランド人を連れていったら、どんな感想を持つでしょうか。
カウチサーフィンでフィンランドからの旅行者をホストするとき、旅の最初に泊めて、日本のあちこちを回ってきてから再び泊めて、彼らの体験を聞くのがとてもおもいしろいのです。
たとえばユハナ君は、桃太郎の鬼ヶ島伝説で知られる瀬戸内海の女木島が最も印象に残っていると熱く語りました。
スザンヌからは、福岡の篠栗町に巨大な涅槃像があることを教えてもらいました。
1週間ぐらいしか休暇が取れない日本人は、短い期間にいかに効率的に観光スポットを回るか、スタンプラリーみたいな旅になりがちですが、2ヶ月、3ヶ月の休暇となると、その国のディープな部分に触れたくなるのは当然です。
川本町だったら、彼らの期待にしっかりと応えられそう。アンネはジャーナリストだから、鋭い観察眼があり、日本人の私が気づかなかったことも教えてくれることでしょう。
島根のことをアンネに「プリンセス・モノノケの世界」と説明すると、「私が一番好きなミヤザキ映画だ!」という反応。
ラフカディオ・ハーンを読むことを勧めると、フィンランド語訳が出ているそうです。
優春翠からは、「フィンランドの人が来るなら大歓迎!」というありがたい言葉をもらいましたが、フィンランド人なら誰でもいいというわけではありません。
出雲大社にちなんで言うなら「ご縁のある人」だけ。
カウチサーフィンで初対面の外国人旅行者を自宅に泊めていると、「なんて心が広い」と驚かれることが多いのですが、私ほど人付き合いを絞り込む人はいないんじゃないかと思えるほど、心の狭い人間です。
縁をつなげていくことはとてもおもしろいけれど、誰でもつながればいいってものじゃない。
フェイスブックやツイッター、カウチサーフィンにより、一生のうちにつながれる人の数は一気に広がりました。
単につながったことだけで満足せず、そしてつながった後に何をするかが重要です。
つながることは、目標ではなく手段なのですから。
アンネと訪れたセイナヨキの図書館の掲示板に、剣道教室の告知がありました。これをきっかけに剣道を始めたアンネ。熱心に稽古にはげみ、ヘルシンキの大会にも出場するそうです。優春翠の亡きお父さんが剣道の達人だったと聞き、ここにも不思議な縁を感じました。