翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

大いなる所有への第一歩

今年も無事に冬至を迎えることができました。

コロナのため年筮の回はZoom開催が続いていたのですが、今年は久々に新宿でリアル開催できました。

 

ずっと年筮の回を開催してくれる杏子さんがまさかの事態で欠席となりましたが、玉紀さんが替わりに来てくださって、進行することができました。

朝から雨であいにくの天気のようですが、易の世界では雨は吉兆。天(陽)と地(陰)の和合です。お昼過ぎには雨が上がり、青空が広がりました。

夜はZoomで杏子さんにお世話になりました。昼も夜も参加者の皆さんそれぞれにぴったりの卦が出たと思います。

 

冬至の年筮の記録。延々とさかのぼるときりがないのでとりあえず3年分。私にとってはお正月や立春よりも年の切替わりを実感するタイミングです。

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そして翌日はウラナイ8のメンバーが集まって年筮の回。

2023年の秋にスペインの巡礼路を歩きたい。でも、コロナが心配だし準備が整っていないかもしれない。易の神様が行ってもいいか悪いかを告げてくれるだろうと思って臨みました。

 

私が得たのは火天大有の初爻。

あー。大いなる所有。私は持ち過ぎているのです。杏子さんがウラナイ8の三周年の記事のテーマで出してくれた卦です。

uranai8.jp

杏子さんに「たくさん持っている」と言われてもピンと来なかったのは、俗世でいくら持ってもあの世には持って行けないから。私は現世利益ばかりとらわれていて精神的な豊かさに欠けています。そこを埋めるためにわざわざスペインに渡って巡礼の道を歩いてみたいのです。

火天大有の二爻は去年の冬至にゆみこさんが出したのですが、大きな車に荷物を積んで運ぶ姿。ゆみこさん、本当にご苦労様でした。毎週欠かさないYouTube配信は、大きなルートにメッセージを載せてみんなに配っている姿です。

初爻だと車がないので自分の足で歩くしかありません。

 

ウラナイ8号室にふさわしく、八角形のお弁当。玉紀さんのご両親からの差し入れです。ごちそうさまでした。この建物に八角形の安定がもたらされるだろうと確信しながらいただきました。

『末期ガンでも元気です』著者ひるなまさんを悼む

大腸の末期ガンの闘病記をネットで見かけ、ウサギの絵柄に惹かれて最初のあたりを読んでいました。著者の漫画家、ひるなまさんが亡くなったというニュースを読み、単行本化されていることを知り、最後まで読んでみました。

 

定期的な健康診断ぐらいしか病院に行かない私にとって、検査や告知、手術、入院、抗ガン剤治療など一連の描写は初めて知ることばかり。

主人公と身内は鳥獣戯画みたいなキャラクターなので、闘病の重苦しさを感じさせません。そして病院のスタッフは全員、美男美女で仕事熱心に描かれていて、ひるなまさんの感謝の気持ちが伝わってきます。

38歳の若さで余命宣告を受けた衝撃は想像もできませんが、漫画という表現手段を持っていたことが大きな支えとなっていたようです。

「手術前後の苦しくつらいときは『せっかく漫画家がガンになったんだから、必ずこの体験を描いてやるぞ』と強く念じることで痛みに耐えていました。今は描くことが生きるモチベーションになっています」とインタビューで語っています。

そして「時系列で情報を整理し起承転結を付けていくことで、現実の煩雑な出来事や感情が渦巻く自分の脳内も整理されていきました」という発言に大きく刺激を受けました。

lp.p.pia.jp

オリジナル作品を出せる才能はなく、依頼原稿をこなすだけのライターとしてキャリアを終える私ですが「書くこと」は人生を整理することに通じます。このブログと、仲間とやっているウラナイ8に週1回メッセージを書くことで、自分がどう生きたいかが明確になってきます。スペイン巡礼にしても、漠然とあこがれているだけでは遠い夢ですが、思いを書き綴っているうちにだんだんと身近なものに感じるようになりました。

 

『末期ガンでも元気です』で最も反響がが多かったのは内視鏡検査と虐待の回。実はひるなまさんは、親からの虐待サバイバーです。

どうしてそんな話が出てきたのかというと、入院には身元保証人が必要だから。

これは両親を施設で看取ってもらった際に私も経験しました。かかった費用を清算し、「いよいよとなった時、救急車を呼ぶか、呼ばないか」「亡くなったら、どの葬儀社に任せるのか」の決断を下す人がいないと、どうしようもないのです。

ひるなまさんは「いまわの際に、まさか一生怨み嫌い憎んでいるやつに連絡され、まして私の生死を握られるなんて絶対耐えられない」と両親を保証人にしない道を選びました。

 

子どものいない私にとっても切実な問題であり、60代になる前に死後事務委託に加えて施設や病院の身元保証も引き受けてくれる団体と生前契約しました。業界の中では老舗で全国に8か所支部があるので、とりあえず私が死ぬときまでは大丈夫だろうと判断しました。都市部では保証人の当てがない高齢者が多くなり、疎遠な親戚に無理やり頼んでトラブルになるよりも、こういう専門団体の保証のほうを好む施設や病院が増えているそうです。

 

ひるなまさんは自宅から眠るように旅立たれたそうです。『末期ガンでも元気です』の続編が読めないのは残念ですが、この作品を描いてくれて、本当にありがとうございました。

 

出雲大社の境内のあちこちに、かわいいウサギがいます。

越山の旅

12月初旬、新潟を旅しました。

JALの旅が多いのですが、今回は上越新幹線JR東日本の新幹線と宿泊がパックになったツアーで全国旅行支援を使わせてもらいました。代金が40%割になるのに加えて、夫婦で2泊したので3000円×4の1万2000円のクーポン付き。旅行できない多忙な方々には申し訳ないほどの優遇です。

しかし、新幹線の切符の発券には戸惑いました。これまで何度かJR東日本の「えきねっと」で予約して、クレジットカードやQRコードで発券してきました。今回は受取コードの数字を入力する方式です。エラー表示が出るので困りました。近場の駅のみどりの窓口はとっくに廃止になっており、大きな駅に行くと長蛇の列です。

改めて検索してようやくわかりました。予約サイトの入り口は「えきねっと」ですが、宿泊付きのツアーは券売機で旅行会社経由を選ぶことになっているのです。正しい情報を得て券売機を操作できないことには、お得な割引を受けるのもむずかしい時代です。

 

新潟を選んだのは夫の希望です。冬の新潟はおいしいものがいっぱいあるから。

寒いのが苦手な私は、伊豆の温泉に行きたかったのですが、先月は佐賀について来てもらったので、今回は選択権をゆずりました。

東京は雲一つない快晴だったのに、越後湯沢あたりから暗い雲が立ち込めてきます。雪はまだ降っていませんでしたが、気温もぐっと低く感じ、街行く人はしっかり冬支度。足元は頑丈そうなブーツが目立ちました。

帰りは逆で、新幹線で新潟を離れて何度かトンネルをくぐるうちに空はどんどん明るくなっていきます。

お米と日本酒、海の幸とおいしいものだらけでしたが、日本海側の冬は暗くて厳しいと骨身に沁みました。田中角栄の後援会が「越山会」という名前なのがよくわかりました。「越後の山という意味に加え、東京を行き来するには山を越えなければならないから」と説明されていますが、冬季に山を越えて上京するたびに東京の明るさと暖かさを痛感したことでしょう。

 

「国の光を観る」シリーズで新潟県庁へ。この時間は青空が広がり、最上階の展望スペースから日本海をながめることができました。

 

ネット情報によると昨年11月、1階に「アッパレ食堂」がオープン。昼食と夕食は行きたい店がありすぎると夫が言うので、カフェタイムに行ってみることにしました。名物はクラシックなプリン。

ところが、店先まで行ってみると照明がついていおらず10月末で閉店という貼り紙が! 1年しかもたなかったのか…。官公庁の食堂経営はなかなかむずかしいものなのでしょう。

 

県庁の食堂は体験できませんでしたが、今回とてもよかったのは、酒蔵の見学です。

新潟駅から徒歩15分の今代司(いまよつかさ)酒造。

平日でも1日7回のツアーが設定されており、申込んだ回の参加者は夫と私だけの貸し切りツアーとなりました。案内してくださった女性スタッフに自由に質問もできて、とても興味深い時間となりました。

なんといっても「今の世を司る」という名前が秀逸。もともとはお酒の名前の一つだったのが、いつの時代にも通用するので蔵の名前となったそうです。

 

新潟は北前船の寄港地として大いに栄え、江戸をしのぐほどの一大都市でした。実家があった神戸と似た雰囲気を感じたのはそのためです。

商品を預かって運ぶのではなく、船主が商品を買って売買する方式はリスクも高いけれど当たれば大儲け。村上海賊の末裔の私は大いに血が騒ぎます。よそ者にもオープンで、どこか豪気な新潟気質を垣間見た旅でした。ロシアに平和が戻り、新潟は海に乗り出して世界を相手にする都市となってほしいものです。

 

与える人、与えられる人の器

スペイン巡礼に向けて読んだ本。

著者の森知子さんは旅先で知り合ったイギリス人夫と劇的な結婚をして、9年後に離婚。心の傷を癒すためにスペイン巡礼へ。サンティアゴ・デ・コンポステーラに加えて西の果てのフィステーラまで歩いた44日間の痛快な記録です。

 

スペイン巡礼の翌年には四国八十八か所へ。スペインの巡礼先では四国について聞かれることもあるかもしれないので、合わせて読みました。

 

四国88か所を通しで歩くと1400キロ。スペイン巡礼のほぼ倍です。

 

この本が書かれた2011年時点で、歩き遍路は年間で3000人弱。同じ年のスペイン巡礼者は約18万人。四国には巡礼者専用の宿、カフェ、トイレなどがあまり整備されていないのは当然で、スペインのほうがずっと歩きやすそうです。

 

一方、四国には「お接待」の習慣があります。通りすがりのお遍路さんに飲み物やお菓子を差し入れしたり、格安で宿を提供する「善根宿」。お遍路さんは弘法大師と一緒に歩いており、お遍路さんを助けることは弘法大師を助けることと同じだと考えられているからです。

バツイチおへんろ』で印象的だったのは、車のお接待エピソード。

お遍路の終盤、香川県の67番大興寺へと日照り道を歩いていた森知子さんは車のお接待の申し出を受けました。

70歳ぐらいの威勢のいいおじいさんと後部座席には奥さんらしい白髪の女性。「すべてのお寺を歩いてつなぎたいから」と断ったのですが、おじいさんはこう返します。

まあ、そう意地はらんと。こんな暑い道歩いたら日射病になるで。そーやって断るお遍路さん、よういるなあ。歩きたい気持ちもわかるけど、頑張り過ぎはあかんよ。素直にお接待を受けるのも修行のひとつなんやで、ハッハッハ…

ここまで言われたら、断るのがむずかしいでしょう。森さんも、素直に厚意に甘えることも必要かと思い、乗せてもらいます。

老夫婦は異常に親切で、次の観音寺も乗せて行ってくれると言います。断り切れず、観音寺まで行き、老夫婦を車に待たせて急いで納経所へ。「親切な方に車に乗せていただいて」と世間話をすると、ピンと来たお寺の人が老夫婦の車へ。

なんと、お接待だといって歩き遍路を車に乗せて、仲良くなったら金を貸してくれともちかける寸借詐欺の常習犯だったそうです!

結果的には詐欺だったけれど、「素直にお接待を受けるのも修行のひとつ」というフレーズは、いいことを言ってます。 

 

善意は与えるのも受け取るのもむずかしいものです。

電車の中で席を譲られて「失礼な!私はまだそんな年じゃない」と断る高齢者は器が小さい、せっかく勇気を出して声をかけてくれた人が気の毒という話を読んだことがあります。

若い人に何かを与えるべき年齢となりましたが、身体的な衰えによりサポートを受けるようにもなるでしょう。どれだけスマートに善意の応答ができるかが、今後の課題です。

 

帯広のサウナで年上の老婦人からすあま2つをいただきました。

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toikimiさんのコメント、心に沁みました。

ちょっとしたものをごく自然に手渡せるには、生まれ育った文化とか、見返りを求めない心とかが必要なのでしょうね。そして、それを気持ちよく受け取る方も、素直に相手を思いやれる心の持ち主なのだと思いました。

 

帯広の喫茶店のらくろ」。いかにも温厚そうなマダムが一人で切り盛りしていました。今は亡きご主人が、のらくろが好きで始めたお店だそうです。のらくろは最終回で除隊後、喫茶店を開くのです。

のらくらのステッカーとマッチをいただきました。飛行機の荷物検査でひっかかるかもしれないので、マッチ箱はありがたく箱だけもらいました。

2023年は60年に一度の癸卯(みずのとう)の年

気がつけば今年も残り少なくなってきました。

 

東洋占術では年の切替わりは立春です。世間の「明けましておめでとうございます」とは1カ月ほどずれるのですが、占いは先を読むもの。新年を迎えるムードが高まっている今、2023年を予測してみるのも悪くありません。雑誌用の記事(九星気学)は、とっくに書き終わっていますし。

 

毎年この時期になると、この本を開いています。

 

1年前の予測。

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安岡正篤によると、十干の壬の年は「私心・私欲・野心を逞しゅうする人物の方が多く出ると見なければならない」。まさかロシアにそんな人物が出るとは予想もしませんでした。

晩年は認知症となり、細木数子に手玉に取られたとはいえ、六十干支の読みは冴えています。

そして十二支の寅は陽の始まり。コロナ禍は終焉しないものの、パニック状態だった子年に比べれば、ウクライナ侵攻が重くのしかかったとはいえ、コロナに関しては少し世の中が明るかったでしょうか。

 

来年の癸卯(みずのとう)を安岡ならどう読むでしょうか。『干支の活学』はちょうど60年前の1963(昭和38)年、癸卯から始まっています。所得倍増計画を打ち出した池田勇人首相が年末に第三次内閣を発足させた年で、アメリカではケネディ大統領が暗殺され世界に大きな衝撃を与えました。アメリカは今でも若い国ですが、日本はすっかり老いて所得倍増どころか実質所得は目減りする一方です。

癸は物事の筋道を立てることであり、その筋道が立たぬと、混乱になり、ご破算になる。これを「均(なら)す」という。日本では、政治がその道を失って自然に起こる騒動を「一揆」と称するが、うまくつけたものである。一揆は自然発生的なもので、本来特定の人間の謀略から発した叛乱とは異なるものである。

一揆の「揆」は癸に手偏をつけたもの。おとなしい日本国民もついに立ち上がるのでしょうか。子供を産んで育てるという当たり前のことがむずかしくなった国に未来はありません。ぜひ未来につながる動きがあってほしいものです。

 

そして「卯」。「卯」は「畏れ慎んで、お互いに助け合って、さらに新しく開発に従事する」という文字です。

卯は兎ではなくて、冒(おかす)、陽気の衝動であり、「茂る」ことにもなり、兎より茆(かや)の方である。

(中略)

卯は良い意味では繁栄・繁茂であるが、悪くすると紛糾し、動きがとれなくなることを表す。

四柱推命の講座でも「卯」は動物の兎ではなく、種子が地上に芽を出し双葉になった状態の象形文字と習いました。

東洋占術では寅から未までを陽、申から丑までを陰に分けることがあります。季節でいえば陽は春と夏、寅で立春が始まり、卯は本格的な春到来です。

 

十二支と株価は「子は繁栄、丑はつまづき、寅千里を走り、卯は跳ねる、辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる」で、2023年相場は跳ねることになっていますが、おまじないのようなものです。日本株には跳ねてほしいものですが、私は日本市場から離れニューヨーク市場で取引としているので、日経平均の動向に興味がなくなりました。個別株の動きは、占いでは予測できません。

 

世界情勢は不穏で日本は衰退の道をたどっているように感じられますが、どこかに活路があり双葉が育っているはず。来年の癸卯は、そうした希望を見出せる年になってほしいものです。

 

那覇識名園の卯の像。

個人的には、2023年は海外へ気軽に飛べる年になることを願っています。