易の学びはどこまで行っても終わりがありません。
東洋占術は四柱推命を手始めに九星気学、風水と手を広げましたが、最もおもしろかったのが易。そして、収入に一番結びついたのも易です。
占いの収入といっても、対面鑑定ではありません。
私のメインの仕事は雑誌の原稿書きで、ここ数年、占いの原稿がかなりの割合を占めるようになっています。あと何年かわかりませんが、女性誌が続く限り、占いページの需要はあります。
易をテーマにした原稿はほとんどないのですが、東洋占術の基本は陰陽五行。陰陽の組み合わせで占う易でイメージを広げれば、原稿をどんどん書いていけます。
アメリカには、易を立ててストーリー展開を考える作家もいると聞いたのですが、陰陽の組み合わせは二進法と同じで、単純でありながら無限の広がりがあるのです。二進法を生み出したライプニッツは易に関心を抱いていたそうです。
「易」には三つの意味があります。
まず第一に「容易」の易で簡単。易が六十四卦あるのは、陰陽の組み合わせを6つ連ねると2×2×2×2×2×2で64パターンになるから。とてもシンプルです。しかし、ここから神羅万象に広がっていきます。
そして第二が「変易(へんえき)」。陰から陽に、陽から陰に、易は常に変化します。
「易経」は英語で"Books of changes"。変易にフォーカスした英訳です。
第三が「不易(ふえき)」。易は変わらない。
え! 第二が「変わる」なのに、第三で「変わらない」? いったいどっち?
その解説を岩波文庫の「易経」から引用。太陽や月、星、春夏秋冬は常にとどまることなく変化していますが、そこに変わらない法則があります。
流水の相は同じであるが、すでにゆく水がまた返りくるのではない。花そのものは異なるも、今年もまた去年のように美しい花が咲く。
- 作者: 高田眞治,後藤基巳
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1969/06/16
- メディア: 文庫
- 購入: 9人 クリック: 43回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
暖冬だったり厳冬だったり、冬のようすは毎年変わりますが、秋の次に冬が来て、冬が過ぎると春になるという順番は変わりません。
変わりつつもあるも不変である。易が森羅万象を示すことができるのは、この真理を内包しているからです。
「次はどの温泉に行こうか」と、ネットを見ていると時間を忘れるほど熱中してしまうのですが、温泉宿についてこんなふうに書かれているブログがありました。
小さな宿も、長い目で見ているとあちこちを少しずつ新しくしている場合があります。一見して気づかないのですが。
そういう、こまめに手を加えている宿は、あくまで自分の経験上ですが、たいていがいい宿です。
温泉自体は昔から変わらなくても、宿は老朽化するし、客のニーズも変わります。宿としての本質は変わらなくても、少しずつ手を入れるのがいい宿の条件なのでしょう。
「変易」であり「不易」という易の本質は、この世のすべてにあてはまります。
天下の名湯、草津は昔も今も豊富なお湯が湧き出しています。その一方で湯畑のライトアップや宿やレストランのリノベーションなど、常に変わり続けています。