翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)、ビジネス記事翻訳。副業で外国人に日本語を教えていましたが、2019年3月で卒業。フィンランドが大好き。ウラナイ8所属。

女が生きづらい社会は、男も生きづらい 『82年生まれ、キム・ジヨン』

本が好きでも、老化とともに思うように読めなくなるというネットの書き込みを見ました。うちの母も同じようなことを口にしていたのを思い出し、積読の本を次々と読んでいます。

韓国発のベストセラー『82年生まれ、キム・ジヨン』。読みだしたらとまらなくなり、一気に読了しました。

 

最も印象的な登場人物はキム・ジヨンの母のオ・ミスク。私と同世代です。

上に兄が二人、姉が一人、弟が一人という五人きょうだい。国民学校を卒業すると中学には行かず家事と農業を手伝い、14歳でソウルに出て姉が働く紡績工場に就職します。劣悪な労働環境で得た賃金は実家に送り、兄や弟の学費になりました。五人きょうだいの中で一番勉強ができたのに。

最初に産んだのが女の子だったので、オ・ミスクは姑に涙を流して謝ります。「大丈夫、二人目は息子を産めばいい」と優しく慰められたものの、二人目も女の子。姑は再び「大丈夫、三人目は息子を産めばいい」と慰めます。

 

私の世代では男子出産の圧力はそれほど強くなく、むしろ女の子のほうがいいという風潮もありました。しかし、結婚したのに子供を産まない嫁への圧力はあり、夫の実家に行くと嫌な思いをしたし、自分の実家でも伯母から「親に孫の顔も見せない親不孝者」と叱られたものです。

ちょうど私の親の世代がオ・ミスクの状況と似ています。父は中国地方の農家から東京の大学に進学しましたが、姉妹が働いて仕送りしたそうです。その父の娘である私に文句を言う権利があると伯母は考えたのでしょう。

 

娘には自分と同じような人生を送らせたくないというオ・ミスクの生き方は胸を打ちます。三人の子を育てながら姑の世話をして、現金収入を得る仕事を休みなく続け、不動産を買い投資でお金を増やします。

 

オ・ミスクの夫は安定した公務員でしたが、IMF危機で退職を迫られます。40代や50代の管理職が部下の雇用を守るために早期退職を選ぶ「名誉退職」です。安定した仕事で妻子を養っているというのが最大の誇りだった夫にとっては大きすぎる衝撃です。

 

女が生きづらい社会は、男も生きづらい。

韓国社会で女性は二級市民扱いされる一方で、専業主婦となり子供と公園を散歩しているキム・ジヨンは男性から「俺も旦那の稼ぎでぶらぶらしたい」と憎まれ口を叩かれます。なんというストレス社会。

 

オ・ミスクの世代では果たせなかった大学進学が娘のキム・ジヨンの代で当たり前になったように、時代が進むとともに社会も変化します。

東洋占術を学んでいると「男は仕事や出世を、女は夫と子供を得るのが最大の吉」という価値観に出くわすことがありますが、そのまま現代社会にあてはめるのは無理があります。現代にふさわしい占術の解釈や使い方は常に求められています。

コロナは全世界に危機をもたらしましたが、性別を問わず自由な働き方が可能になるきっかけになればとと希望を持っています 。

  

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釜山の日式(イルシク)居酒屋。

国内旅行の感覚で気軽に渡航できるようになる日が再び来ますように。。