翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

what to doではなく、how to do

映画『Buddhist 今を生きようとする人たち』の上映会に行ってきました。
http://buddhist-movie.com/

3年前の秋、仏教伝道協会で開催されたシンポジウム「ここがスゴイよ 日本人の仏教観」。阿佐ヶ谷七夕祭りで知り合ったばかりの天海玉紀先生と参加しました。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20130922/1379815134

シンポジウムの仕切りがすばらしかったケネス・タナカ師の「英語で学ぶ仏教講座」に2年ほど通いました。この1年ほど、副業の日本語教師の授業準備に追われ、足が遠のいています。

シンポジウムで独自の存在感を発揮していたドイツ生まれの禅僧、ネルケ無方師の安泰寺に行ってみたいと思ったのですが、観光客相手の宿坊ではなく、3年間以上の修行希望者しか受け付けていないというのであきらめました。
『Buddhist 今を生きようとする人たち』には、ネルケ無方師が出演しているというので、これは見なくてはと思ったわけです。

ネルケ無方師は、とても姿勢がいいのですが、それもそのはず。ドイツで高校時代に座禅と出会い、姿勢が変わると自分が変わることを発見したのです。
映画では、「日本のお坊さんは、舞台の上でお坊さんの役を演じているようなもの。舞台を降りると単なる人になってしまう。自分は日々の生活をそのまま修行にしたい」といったようなことを口にされていました。
安泰寺は檀家がなく、修行僧自らが米や野菜を作る自給自足の寺です。まさに生活すべてが修行です。

ベルリンで座禅指導をしている星覚師も登場。そこで修行しているスペイン人ミゲルの言葉。
「何をするか(what to do)ではなく、どうするか(how to do)が重要。人間はみんな同じことをする。たとえば食事。禅では、どうやって食べるかによって大きく違ってくる」
ケネス田中師の「英語で学ぶ仏教講座」でも常々感じていたのですが、外国語をいったん通すと仏教の教えがとてもわかりやすくなります。
インドのカレーがイギリス海軍を通して日本に伝えられ、カレーライスとなるようなプロセスです。

次に、吉村昇洋師の精進料理教室が紹介されました。
「料理を作ることも食べることも修行」という道元禅師の教えに基づき、今、この瞬間に意識を集中して食事をするシーンが印象的でした。

この映画では曹洞宗浄土真宗が取り上げられているのですが、上映後のトークショー佐々木俊尚氏が「曹洞宗ミニマリスト浄土真宗自己啓発」と喝破。たしかにそう。ネルケ無方師の安泰寺の門をくぐるのはとても無理だけど、生活の中から雑多なものを取り除いて簡素に生きたいという願いは禅に通じます。

鈴木大拙は、りんごを食べるだけでも、瞑想のようだったと弟子が語っています。まさに、what to eatではなく、how to eat。意識を変えることができれば、日常生活すべてが修行になるのでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/bob0524/20120322/1332379481


フィンランドの中西部、セイナヨキにあるアルヴァ・アールト設計の教会。禅の精神に通じるシンプルな美しさに満ちていました。