翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

フランス人の東洋占術

占いライターとしては、年に一度の稼ぎ時。
「2013年の運勢原稿」を受注する時期がやってきました。

東洋占術を学び始めて、まず夢中になったのが四柱推命
そこから周易、断易、風水、奇門遁甲へと進み、手相と人相、個人的に好きだったタロットも体系的に学びました。
ものになった占術もあるし、脱落したものもあります。

そして最後に学んだのが、九星気学
どうも興味がわかなかったのです。
生まれ年が一白水星とか二黒土星とか、本命星によって占うというのが、ピンときませんでした。
「だったら、学生時代の同級生は2月生まれと3月生まれ以外はみんな同じってわけ? 同窓会に行くと運のいい人と悪い人もいるじゃない」
しかし、雑誌の原稿では、九星気学の需要がけっこうあります。四柱推命の日干を出すためには、少々面倒な表が必要だし、甲乙丙丁ぐらいはなじみがある人も、みずのえ、みずのとになると「何それ?」となります。
そこで、生まれ年で9タイプに分ける九星気学が求められるわけです。

そこで九星気学の講座を受け始め、最終的には二人の先生から学びました。九星気学には流派が多いので、違った角度の話も聞きたかったからです。
九星気学は想像していた以上に奥が深く、開運術として使えるところが大きな強みです。

最初の先生が教えてくれた本。
富久純光「気学傾斜秘法」

修訂 気学傾斜秘法 全―乾坤編・運勢編・開運編

修訂 気学傾斜秘法 全―乾坤編・運勢編・開運編

富久先生はフランス人ですが、東京生まれ。幼少期をパリで過ごしましたが、戦後、日本に移住しています。おじいさんは、明治時代に伊藤博文に招かれて日本陸軍の軍事顧問となったプロステル・ポルチューネ・フーク氏。富久という苗字はフークに漢字を当てたものです。
昭和40年代に書かれた本なので、時代を感じさせる箇所もありますが、とても興味深い本です。

 運がないと言う事は、必ずそれを補うものを持って生まれている筈ですが、それに気づかずに活用していないだけです。自分で気づかないものは、他人に判る訳がありません。

富久先生はこう書いていますが、先生の月盤鑑定法は、得意・不得意分野を知る大きな手がかりとなります。
たとえば、私は震宮(しんきゅう)に天道天徳、三合、月徳の吉神が付いているので、人がやっている事をなぞるのではなく、新規のものを立ち上げるほうがいいのです。
反対に艮宮(ごんきゅう)には暗剣殺(あんけんさつ)と定位対冲(じょういたいちゅう)。まちがっても不動産投資などには手を出してはいけません。
四柱推命の五行のバランスを見るよりも、易の八卦に置き換えて職業にぱっと結び付くので、実占鑑定で使い勝手がとてもいいのです。

次の先生が教えてくれたのが、ベルナール・フランク「方忌みと方違え」。

方忌みと方違え―平安時代の方角禁忌に関する研究

方忌みと方違え―平安時代の方角禁忌に関する研究

占いというより歴史研究書なのですが、フランス人つながりで買ってみました。
こちらはフランス語から日本語への翻訳で、フランク氏は元日仏会館館長です。
「方違(かたたが)え」とは、凶方へ行かなくてはならないとき、まず他の方角に向かい、そこで一泊してから目的地に行くこと。そんな悠長なことができるのは、貴族ぐらいで、平安時代に盛んに行われていました。

序文にこうあります。

方違えの役割は、いわば―あえて電気関係の用語を借りるならば―神の存在によって引き起こされた状況の「変圧器(トランス)」のそれである。

こういう表現は西洋人ならではです。
異なる文化を通過することで、東洋占術は普遍的になっていきます。

易はイーチンとしてユングを始め西洋知識人にも定着しましたが、九星気学と易はルーツが同じです。易の八卦は八方位であり、そこに中央を加えると九星となります。
フランス人の手によるこうした本を読んでいると、九星気学や方位術はもっと世界に広がってもいいという気がします。