翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

詩人としての占い師

お正月はボブ・ディランザ・バンドのDVDばかり見ていました。

1997年にテレビ東京で放映された「ボブ・ディラン・ライブ・コンサート・スペシャル 激しい雨」の映像を昨年、手に入れました。
この時期のディラン先生のライブはどこか神がかっていて、ライブCDの「激しい雨」に何度も聴き入っていたのですが、映像も見飽きることがありません。

私は高校時代にディラン先生に出会い、その言葉の力に圧倒され、本気で英語を勉強しようと決意しました。
大学に入るための受験勉強ではなく、思いを伝えるための言語として英語を学ぼうとしたことは、その後の私の人生を大きく変えました。だから、敬意を込めて「ディラン先生」と読んでいます。原稿を書くという職業に就き、占い師となったのも、ディラン先生のおかげです。



「激しい雨」の映像にはディラン先生のこんなお言葉が挿入されています。
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詩人であるためには、必ずしも詩を書かなくていいのです。
ガソリンスタンドで働いていて、詩人だという人もいるんです。
私は、自分では詩人とはいいません。
軽業師と呼んでください。
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「激しい雨」「愚かな風」など圧倒的な詩の力があふれる曲を生み出す一方で、こんなジョークを言ってのけるのです。

ガソリンスタンドで働く詩人がいるのなら、占い師で詩人がいてもいいはずです。
それが私の目指しているものです。

私の場合、対面鑑定より原稿執筆という形で占いに関わってきた年数が長いので、どんな言葉を使うかがテーマでした。雑誌によって読者層は変わってきますし、読者が知りたいのは、占術理論ではなく、「私の運勢」です。
占いライターは、知識の深さより、文章作成能力のほうが要求される仕事だと思います。いくら英語ができても、日本語が達者でなければ通訳や翻訳ができないのと同じです。

そして対面鑑定でも、言葉の力は必要です。
鑑定は占い学校の授業ではないのですから、専門用語を羅列して、いかにも高度な占い理論を駆使しているように見せかける占い師はどうかと思います。
占的(占いで知りたいこと)、性別、年齢、家族構成、職業などに応じて、言葉を選んでいく必要があります。
そして、原稿書きとの大きな違いは、推敲ができないことです。即興詩人として、心に届く言葉を紡いでいくのは、容易なことではありませんが、とても大きなやりがいがあります。
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