翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

リヒトで出会った風通しのいい人たち

JALの「どこかにマイル」で旅の行き先が鹿児島になり、指宿のリヒトに行ってきましたが、向こう見ずな私にも少し不安はありました。

断捨離はストイックなイメージがあります。だらしない私が浮いてしまうのでは…。

 

実際に行ってみると、そんな不安は杞憂に過ぎないことがわかりました。

温かい歓迎をしてくれた純子さんとみずゑさん。そして、地元指宿の文さんとかず余さん、福岡のトップトレーナー、葉子さん。せっかく再会したダンシャリアン同士で盛り上がりたいだろうに、快く私も仲間に入れてくださいました。

断捨離で空間の風通しがよくなると、人間関係も風通しがよくなるのでしょう。

 

文さん差し入れの鳥刺しと薩摩揚げ、旅行気分が盛り上がりました。かず余さんからはお中元で届いた梅干し。「断捨離を始める前、きれいな包装紙はいつか使えるかもしれないと取っておいたものだった」とのこと。参考になります。

 

リヒトのキッチンは自由に使っていいのですが、「美しく清潔に維持する」というルールがあります。ダンシャリアンたちとキッチンに立つと、断捨離の極意を垣間見ることができます。

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食後、食器を洗って片付けると、葉子さんが食器棚を整え始めました。

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単に収納するのではなく、食器をどう並べたら美しく見えるか、まるで美術館の展示担当者のよう。断捨離の本を読んで頭で理解しただけのことが、リヒトでは五感で学べます。

 

リヒト案内にはこう書かれています。

やましたひでこが、古伊万里と輪島塗の器を提供しております。

古びた器たちですが、とっても味わいがあります。

どうぞ、ご自由にお使いくださいませ。

割れる、壊すことなど、気になさらずに。

そう、「モノは使ってこそ!」が

断捨離のコンセプトですからね。

 

「割れる、壊すことなど、気になさらずに」という一文にぐっときました。私はモノを所有していたようで、モノに所有されているのです。

 

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調理台と流し台の下は扉がありません。

「みんなが使うから、どこに何があるか一目でわかるようにしている」と葉子さん。

淡いピンクの布は、洗った食器を拭き終わったら流しを拭き、使い終わったら右側に。まとめて洗濯するそうです。

ボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」の一節が頭の中でぐるぐる回りました。「転がる石に苔が生えぬ」、まさに断捨離ソングです。

You've got no secrets to conseal

隠さなければならない秘密もない

 

あやさんによると、断捨離トレーナーになるには講座やレポート提出に加えて、やましたひでこさんが自宅を訪れての面接があるそうです。

我が家の流しの下、洗面台の下は、扉を閉めてconsealしていました。断捨離トレーナーにはとうていなれませんが、やましたひでこさんの訪問シーンを想像して、いつ誰が開けてもいいように断捨離しよう決意しました。

準備が整わなくても、とにかく旅立つ

断捨離のやましたひでこさんの指宿リトリート「リヒト」を知ったのは、5月半ば。 

bob0524.hatenablog.com

東京オリンピック中は都内が騒然とするだろうから自宅で静かに過ごすとして、その前にどこかに行っておこうとJALの「どこかにマイル」申し込み。帯広・青森・大分・鹿児島の組み合わせを選びました。帯広だったらモール泉、青森だったら酸ヶ湯、大分だったら別府、そして鹿児島だったらリヒトという心づもりです。

 

鹿児島に決定。リヒトに行くのは家の断捨離がある程度進んでからと思っていたですが、まずモチベーションを上げるために行っておくべきなんでしょう。

 

出発前に『定年後の断捨離』を読みました。

家の中を断捨離するだけでなく、子供が巣立ち、仕事もリタイアしたら好きなところに住めるように身軽になろうという内容。やましたさん自身がフットワーク軽く沖縄に移住した経緯も書かれています。

私が断捨離に惹かれる理由も、好きなところに自由に移動したいからです。長期滞在の旅を繰り返すうちに、生きていくのに最小限必要なものが実感としてわかってきます。 

 

「いつか」「そのうち」という言葉には、「できない理由」がいっぱい潜んでいます。対する「今」「ここ」という言葉には、「できる理由」が隠れています。

<中略>

 準備が完璧に整ってから、などと思っていると、旅立ちの機会を逃してしまいます。

 

「どこかにマイル」で目的地が鹿児島になったということは、指宿に行けという天の配剤。家の中が片付いていなくても、とにかく行ってみればいい。そう思って荷造りしていたら、編集者から連絡があり、春先に打ち合わせしてそのままになっていた案件が急に動き出すとのこと。とっくに流れたと思っていたのに。タブレットと折り畳み式の軽いキーボードで本格的な原稿を書くのはむずかしいので、パソコン、アダプター、マウスを持参することになりました。宿泊するのはリヒトだけで移動がないので、少々荷物が重くなっても大丈夫。本格的なワ―ケーションです。 

 

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鹿児島空港から指宿行の直行バスに乗り、駅から迎えの車でリヒトへ。市街地から離れ、山の中にある指宿ベイヒルズという立派なホテルです。

後で知ったのですが、陽子線がん治療の最先端の病院が隣接し、メディカルツーリズムの施設としてコロナ前は海外のVIPが宿泊治療を受けていたとか。

 

チェックインの時からなんだかおかしいと思っていたのですが、私が予約したのはリヒトではなくワ―ケーションプランだったことが判明。リヒトに会員登録してメルマガから予約したはずなのに。「お食事がつかないけれど大丈夫ですか」と言われ、「2食1500円の一汁一切があるはずなんですが」と答えて判明しました。近くに居酒屋もコンビニもない山の中でどうしようと考えを巡らせていたら、ホテルの方の柔軟な対応で、リヒトのプランに変更してくださいました。

 

改めてリヒト専用の部屋でチェックイン。さすが断捨離関係者、突然の参加者にあわてずさわがず、親しみやすく迎えてくれます。サイトを作ったばかりでホテルのワ―ケーションプランがトップに出てしまい、その前は電話予約だけだったので私のような間違いは起こらなかったそうです。

その日の参加者は私を含めて4名。時期によって何十名になることもあるそうですが、施設自体が広大なのでいつも同じ雰囲気とのこと。

最初の夜の夕食はスタッフの方お二人とご一緒させてもらいました。数人が持ち回りで滞在しているそうで、東京の隣の区と埼玉の方でした。

鹿児島は遠いようで、飛行機に乗ってしまえば時間がちょっと長いだけだという話になり、私が「どこかでマイル」で鹿児島になったので来たと話すと、がぜん興味を示すお二人。毎月のように東京と鹿児島を往復しているのにマイルに無頓着のようで、それはもったいないと、JGCJALグローバルクラブ)会員への修行体験などを披露しました。断捨離の極意をつかむはずが、教えたがりおばさんです。

 

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初日の夕食。発芽発酵玄米ご飯、具だくさん汁は保温容器に入っていて、自分で盛り付けます。この日のお菜は、鯖の塩焼きと地元で採れたてのおくらの天ぷら。ラディッシュは地元の店で買った物をおすそ分けしてもらいました。

具だくさん汁は、大根、人参、ごぼう、小松菜、鹿児島らしくさつま揚げと豚肉が入って豚汁風。野菜は丁寧に下ごしらえされており、絶妙な味付け。ホテル専属のフレンチのシェフが作っているそうです。

おいしさに感激していると、「今日は月曜断食の人がいるし、だいたい余るからお鍋にとっておいて好きな時に温めなおしてまた食べてもいいですよ」とのこと。テーブルの上には差し入れのお菓子もあり「ご自由にどうぞ」。伊豆高原のやすらぎの里みたいに一日二食合計1000カロリーのつもりだったのに、つい食べ過ぎてしまいそうです。

 

やっぱり来てよかった。今というタイミングでここに来るべきだったと実感し、翌朝からの仕事もはかどっています。

 

同意できないことに同意する agree to disagree

NHKラジオのビジネス英語の講座で"agree to disagree"という表現が出てきました。

直訳すると「同意できないことに同意する」「反対に賛成する」ですが、同調圧力に負けて、心の中で納得していないのに服従するふりをすることではありません。

正解は、見解の相違を認め、これ以上争わないという意味。

 

人の好き嫌いがあるのは当然という前提で、苦手な人との関係をマネジメントするライフハック

勝間和代さん自体、好き嫌いが分かれる人物ではないでしょうか。経歴がすごすぎるし、アルコールやカフェイン、砂糖を一切取らないというストイックなスタイルは真似ができません。アルコールはともかく、コーヒーとケーキの楽しみがない人生なんて無理。それでも、この本にはなるほどと思わせるライフハックがたくさんありました。

 

 

 例えば、冠婚葬祭で、配偶者の親や親戚とどうしても一緒にいなければいけないときがあると思います。あっても、年に1回、2回という感じだと思いますが、一緒にいる目的は冠婚葬祭を無事済ませることですから、最低限必要なコミュニケーションを取ればいいわけです。

 ここで大事なことは、自分の考えを相手に押し付けたり、相手の意見を変えようとしたりしてはいけない、ということです。

 

やたらに怒りをぶつけてもいいことは何もない、できるだけスルーした方が消耗することがないという大人の知恵。

 

人生の折り返し地点をとうに過ぎ、残された時間はどのくらいあるのかわかりません。議論に勝ったつもりでも、人は容易に変わりません。むしろ、「言い負かされた」という恨みを持たれて不要なトラブルを引き寄せるだけ。この人はこういう人なんだとわかったら、agree to disagree と念じて、波風立てないようにします。

 

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サウナ界のミシュランでサウナシュランで1位を獲得した佐賀の御船山楽園ホテルのロビー。

 

ウラナイ8の杏子さんに誘われてお台場のチームラボに行き、「サウナでととのった状態でこういうのを見たい」と思ったのですが、チームラボはとっくにサウナとコラボしていました。 bob0524.hatenablog.com

 どうでもいいことでエネルギーを消耗するぐらいなら、サウナに行く。水風呂の後の外気浴でトランス状態になれば、たいていのことは頭から抜けていきます。

排水口のよどみを解決

ネットで知った有益情報。

排水口の受け皿やトラップ、蓋はスペアを用意。取り出して洗ったら乾燥させる。

 

サイズを測って検索すると、キッチンと浴室のシンクのサイズに合ったものが見つかりました。早速購入しました。

 

これまでは、ぬるぬるした受け皿やトラップを洗って、すぐにセットしてまた使っていました。きれいにしたつもりでも、洗い残しからぬるぬるがすぐに広がっていくような気がしていました。パズルゲームでスライムみたいなのが増殖していくイメージ。かといってシンクに水を流さないわけにはいきません。スペアがあれば、使わないほうをしっかり乾かせます。

 

天気がよくて風のない日はベランダで乾燥させています。

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多少の汚れが残っていても、乾いた後なら拭くだけで簡単に落ちます。

3つ合計で約3000円。なるべくモノを買わずに、すっきりした生活を目指しているのですが、これは買って正解でした。

東洋の開運術で水を重視するのは、古代中国では河川で物資を運んでいたからだと教わりました。水が財をもたらすのです。船が着岸しやすい場所に住居を構えることがお金持ちへの道。現代の日本では川の流れは情報に置き換えられ、いかに有益な情報を入手できるどうかが運気の分かれ道です。

しかし、いくら情報をつかんでも行動しなければなにも変わりませんし、家の中が散らかり放題で排水口も詰まりがちでは、家中がどんよりして意欲も出ないでしょう。

 

換気扇の掃除が面倒で、ずっと先延ばしにしていました。毎日使うたびに、怠け者の自分が嫌になっていましたが、思い切って掃除不用の換気扇に換えました。

 

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これも満足度の高い買い物でした。

たいした料理は作りませんが、換気扇とシンクの排水口というキッチン掃除の二大難所をクリアして、晴れ晴れとした気持ちでキッチンに立てるようになりました。

アイリッシュパブの老人たち

甲府の珈琲専門店ダン、旭川の四條食堂など何十年もの続いてきた店の個人店主は、体力が続く限り、やりがいのある仕事ができます。 

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徐々にリタイア状態に向かっている私は、今さら店を始めることもできず、無為な日々を過ごすだけになるのかと暗い気持ちに…。

 

アイルランドのパブを思い出しました。訪れたのはもう30年以上も前のことです。

会社を辞めてフリーランスとして独立する前、3カ月の長期旅行。ネットのない時代ですから、首都のダブリンはともかく地方の街の情報はほとんどありません。当時、U2が好きだったのと、翻訳仕事を手伝ってもらっていたアイルランドアメリカ人のレジーナのアドバイスで旅先にアイルランドを選びました。

 

ダブリンを離れて始めて向かう地方。念のためその日に泊まるB&Bはダブリンの観光局で予約しました。エアビーアンドビーのある現在からすると隔世の感があります。

Googleマップもない時代なのでB&Bの場所を聞くために目についたパブに入りました。

パブといっても酒場だけではなく、喫茶店、レストラン、地元のコミュニティスペースといったさまざまな役割があるとレジーナに聞いていたから。それに「アイルランド人は親切だから、きっと助けてもらえる」とアドバイスをもらっていました。

しかし当時、地方のパブに東洋人がふらりと一人で入ると目立ちます。昼間からギネスを飲んでる地元の常連らしい高齢男性たちの注目を一身に集めました。

宿に着くまでに酔っ払うわけにいかないので、とりあえず紅茶を注文してバーマンが一息ついているときにB&Bの住所を書いたメモを見せて場所を聞きました。

ダブリンの観光局の女性はバス停から歩いて行けると言っていたのに、バーマンはしきりと首をひねります。待ってましたとばかりに乗り出してくる常連客たち。住所のメモはたちまち次から次へと回され、私のところに戻ってくるのかはらはらしました。

地元の常連たちの誰一人としてそのB&Bを知らないようです。困り果てた私を見かねて、どこかに電話してくれる人がいました。

「わかったぞ、ダブリンの観光局がバス停の名前を間違えて書いたんだ!これは別の街のB&Bだ」

店中が安堵。正しい街へ向かうバスの時間まで教えてくれて、安心して店を出ることができました。

 

この体験に味をしめて、どの街を訪れても真っ先にパブで情報収集をすることに。慣れてくると、とりあえずギネスを半パイント。滋養あふれるほろ苦い味が大好きになりました。アイルランドの国民飲料であるギネスを外国人がおいしそうに飲んでいるのは、パブの客にとってはうれしいことなんでしょう。しばしば二杯目のギネスをご馳走してもらうこともありました。キャッシュ・オン・デリバリーなので、人におごりやすいのです。

「じゃあ、次のギネスは私に払わせて」と言うと「いつか私が東京に行った時、サケを一杯買ってくたらいいから」

この精神はしっかり私に受け継がれ、外国人旅行者や留学生をホストするようになりました。

 

あの時の老人たちは、昼間からギネスを飲んでいたのだから、仕事はしていなかったでしょう。それでも、仲間がいて毎日通うパブがあります。見ず知らずの外国人に親切にできるのですから、陰謀論にかぶれたり右翼化もしていないでしょう。これはかなり理想的な老後です。

コロナが収まって外国人が日本を訪れるようになるのはいつになるのでしょうか。アイリッシュパブの老人たちのようにもてなすことができる日を待ち望んでいます。

  

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アラン島で同じB&Bで知り合ったマーフィー夫妻は、その後ダブリンの自宅に招待してくれました。帰国後も交流が続き、夫婦で来日した時のおみやげはギネスのカップアイリッシュコーヒーのグラス。ウイスキーにコーヒー、砂糖、生クリームを入れるとカロリーも相当なものになりそうで、作ったことはありませんが、ずっと持ち続けています。こういうものは絶対に断捨離できません。