翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年秋、スペイン巡礼(フランス人の道)。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。おかげさまで重版になりました。

「昔はよかった」と嘆いても、しかたがない

来月の下旬に出発するスペイン巡礼、最初の1週間の宿を予約しました。

到着地のパリは都会だからしかたがありませんが、巡礼路の始まりであるサン・ジャン・ピエ・ド・ポーでは、天気のようすを見てピレネーを越えようと考えていました。しかし、カミーノ友の会の相談会では、そんな行き当たりばったりの旅はむずかしいというアドバイス。その日の体調で歩けるところまで行って宿に泊まるといった巡礼スタイルは過去のものとなっているのです。

不満そうな私に友の会の人は「状況が変わっているのだから、合わせるしかないでしょう」という実践的な助言をくれました。本当にそうです。「昔はよかった、今はけしからん」と嘆く老害になってはいけません。

公営のアルベルゲ(巡礼宿)は予約不可で先着順ですが、私営のアルベルゲならブッキングコムで予約できます。数年前までは電話予約のみでスペイン語ができなければむずかしかったのですが、ネットのおかげです。

とりあえず巡礼の始まりの1週間の宿を確保。その後は体調や状況次第ですが、その日の宿を確保してから歩くというパターンになりそうです。

 

これって結婚を巡る状況に似ていると思ったのは、婚活小説の『傲慢と善良』を読んだから。

 

一昔前なら自然な出会いで結婚するのが最高で、結婚相談所は最後の手段というイメージがありました。しかし、今は自然な出会いができても相手は独身主義者かもしれないし、既婚者だということも。学生時代の恋人からそのままゴールインというパターン以外は、相手に結婚する気があり身元もはっきりわかる結婚相談所を使うべきなのでしょう。

 

現代の婚活では「ピンとこない」なんていうあいまいな理由は許されないそうです。

『傲慢と善良』に登場する結婚相談所を経営する老婦人の台詞の数々。

今は情報があふれているせいか、どんな方でもまずは結婚の前提として恋愛を求める傾向が強いです。自分にはこの人じゃない、ピンとこない。

ピンとこない、の正体は、その人が自分につけている値段です。

値段、という言い方が悪ければ、点数と言い換えてもいいかもしれません。その人が無意識に自分はいくら、何点とつけた点数に見合う相手が来なければ、人は”ピンとこない”と言います。私の価値はこんなに低くない。もっと高い相手でなければ、私の値段とは釣り合わない。

ささやかな幸せを望むだけ、と言いながら、皆さん、ご自分につけていらっしゃる値段は相当お高いですよ。ピンとくる、こない、の感覚は、相手を鏡のようにして見る、皆さんご自身の自己評価額なんです。

 

巡礼の道を歩きながら「ピンとくる」宿に泊まりたいと願っていました。雨風をしのげる屋根さえあればいいと思いつつ、おもしろそうな人の出会いやハプニングを望んでいたのです。デジタル時代には、そんなことは望みすぎなんでしょう。

 

先月旅した釜山の釜山の街にはいたるところに2030年の万博関連の看板や飾り付けがあり、大いに盛り上がっているようす。てっきり大阪万博の前に開催されるのかと思ったら、大阪は2025年! 海外パビリオンの準備が全然進んでいないという報道がありました。

私が子どもの頃の大阪万博は日本全体で盛り上がっていたような記憶があります。両親に連れて行ってもらい、世界各国のパビリオンを回るのは夢のような体験だったし、こんなにたくさんの国が出展してくれるなんて日本ってすごいと思ったものです。

「1970年はよかった」と嘆いてもしかたがありません。工期やコストの問題をなんとか乗り越え、現代にふさわしい新しいスタイルの万博になるといいのですが。