翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

オーダーメイドの占い、既製品の占い

占い雑誌に、西洋占星術で2014年後半の運勢を書いています。

雑誌やテレビで「○○星座の運勢」とあるのは、ほとんどが太陽星座に基づいています。

本来の西洋占星術は、出生時の天空図(ホロスコープ)で占います。太陽だけでなく月や水星、金星、火星といった惑星も見ます。
誕生日が同じでも、生まれ年が違えば、ホロスコープはまったく違ったものになります。
複雑な計算が必要なホロスコープを手にできるのは、専属の占い師を持てるお金持ちだけでした。

占星術がメディアに掲載された走りは、1928年のニューヨーク・タイムズ
太陽星座だけを使った「サンサイン・アストロロジー」です。誕生日を12に分けるだけですから、紙面に掲載するのも容易です。

それまでの占星術が、体を採寸してあつらえるオーダーメイドの服であるのに対し、太陽星座だけの占星術はサイズを限って大量生産された既製服です。
多少、合わないところもあるけれど、着られないものでもありません。
ただ、人によっては「胸回りはぴったりだけど、丈が短い」ということも。「私は蟹座だけど、ちっとも家庭的じゃない」という人がいるのと同じです。

四柱推命も、本来は年月日時間の四つの柱を立て、八字(四つの干、四つの支)で占います。雑誌ではとてもそこまでできないので、生まれた日の干、あるいは生まれ年の支だけを取り出して掲載します。

さて、今年後半の12星座の運勢をせっせと書いているところですが、ソーラーシステムという手法を使います。
出生時に太陽が入っていた星座をホロスコープの第1ハウスとして、運行中の木星土星、火星、金星などがどのハウスに入っているかで占います。これは半年というスパンで占うためで、月運なら太陽をメインで使い、日運は月を使います。
(西洋占星術で対面鑑定はできないけれど、12星座の象徴について語るのが大好きなのはこんな仕事をずっとやってきたためです)

本格的に西洋占星術四柱推命を学んでいる方にとっては、雑誌やテレビの占いなんて大雑把すぎると感じるでしょうが、そこにはシンクロニシティの要素も入ってきます。

たまたまある雑誌を開いたり、テレビを見ていて、自分の星座や干支についての占いに接する。まったく当たってないと感じたら、無視して大丈夫です。大雑把なサイズ分けで大量生産されたドレスですから。
でも、何か心惹かれるものがあれば、それは有益なメッセージかもしれません。

一方、細密に作ったホロスコープや命式でも、すべてが当たるというわけではありません。

全身を採寸してぴったりフィットするドレスを作ってもらっても、気を抜けば太るし、体調が悪ければやせます。
人間の体(運気)は常に変化しているのです。
出生時のホロスコープや命式は不変ですが、巡ってくる星や五行の流れに影響され、あなたがどう変容するかは、予測できない部分も大きいのです。

占いでわかることも多いけれど、わからないことも多い。
こう書くと、とてもいい加減ですが、それでいて奥が深いのが占いです。


JR原宿駅の代々木公園に接した臨時ホーム。年末年始だけ使われます。都心なのに、生命力あふれる緑の力に圧倒されます。