エリザベス・ギルバートの『食べて、祈って、恋をして』。いつかはこんな旅をしてみたいと、何度も読み返しています。
生きる喜びを追求するためにイタリアで4カ月、美食を楽しみ世界で一番美しい言語であるイタリア語を学ぶ。離婚騒動で消耗した心身が回復したら次の4カ月はインドへ。インドのアシュラムに4カ月滞在し、瞑想とヨガで信仰の世界を探求。最後の4カ月は喜びと信仰のバランスを取るためにインドネシアのバリ島へ。
1年をかけての壮大な旅程。イタリアとインドネシアでは家を借り、インドではアシュラムに滞在。まさに「暮らすように旅をする」。
いつか私もやってみたいものです。コロナで海外に行けなくなったからこそ、妄想力が炸裂します。鉄道ファンには時刻表で妄想旅行を楽しむ人がいるように、4カ月ずつ3か国に滞在するならどの国を選ぶかを考えるだけで、次々と旅のアイデアが湧いてきます。
まず、生きる喜びとして美食を選ぶのは避けます。太るのを避けたいし、和食以上に好きな国の料理が思い浮かばないので。アイルランドでパブを巡って酒の喜びというのも、一気に依存症になりそう。
食事や酒より生きる喜びを与えてくれるのはダンス。
この10数年、どんなに消耗した時期も週5回のズンバのクラスで生き返ってきました。何も考えずにラテンのリズムで体を動かすことこそ、生きる喜びです。
私だったら、最初の4カ月はズンバを発案したベト・ペレスの故国、コロンビアに滞在します。事前にコロンビア人の知り合いを作り、外国人が気楽に通えるダンススタジオを見つけておかなくては。
4カ月もいてスペイン語がまったく話せないというのもまずいので、個人レッスンも受けてみよう。ダンスの曲の歌詞とダンス用語を中心に。4カ月となるとカウチサーフィンには長すぎるので、エアビーアンドビーで宿探し。初めて行く国で勝手がわからないので最初の数日間は安全な場所にホテルを確保したほうがよさそう。慣れてきたら、ガルシア=マルケスゆかりのカリブ海沿岸を回れるかもしれません。
さて、次は信仰の世界を探求。
インドのアシュラムもいいけれど、タイの僧院を選びます。バンコクでヴィッパサナー瞑想の体験クラスに出たことがあります。
そして肉体と精神のバランスを取るなら、断然フィンランドです。
知り合いのつてを頼れば、湖畔のサウナ付きコテージに滞在し、水風呂替わりに湖に裸で飛び込む日々を過ごせるはず。人恋しくなったら、ヘルシンキに出て街のサウナへ。
以前、カウチサーフィンで我が家に滞在したヨルマが「夏は企業も会社も長い休みがあるので、地方に滞在しサマースクールが教えたり学んだりして過ごす」と言っていました。ヨルマはコンピュータ系の専門家ですが、サマースクールでは折り紙を教えています。
フィンランドのサマースクールで教えるために日本語教師の資格を取り、箔を付けるためにヨーロッパ系の語学スクールの東京校でオタク相手に日本を教えたんじゃなかったか! フィンランドに行ってこそ、この経験が活かされるはずです。
妄想は広がる一方ですが、冷静に考えるとタイの僧院の4カ月というのは無理かも。そんなに宗教的な人間じゃないし。日本にも千葉と京都で10日間のコースが開催されています。タイに行くにしても、瞑想は10日間にしておいたほうが無難です。そもそも、エリザベス・ギルバートをそっくり真似して3か国を連続して旅することもないでしょう。
コロナがこのまま収まるのか、新たな波がやってくるのか、予測がつきませんが、妄想旅行を計画するのは自由。準備のためにやることもはっきりしてきます。
週5回のズンバのクラスが特別な意味を持つように。メレンゲ、サルサ、クンビア、レゲトンがズンバの主なステップですが、コロンビア発祥なのがクンビア。片方の足を引きずるようなステップは鎖でつながれた奴隷を模しており、農民がさとうきびを刈る動きを模したシュガーケーンという動きもあります。単にノリのいい音楽に合わせて動くだけでなく、南米の文化や歴史も探求したくなります。
その一方でコロンビアを訪れる前に、スタジオでのレッスンについて行けず引退する日が来るかもしれないとうっすら予測しています。そうなったら、そうなった時。それまで楽しい夢を見たのですから、それでよしとしましょう。
元は貴族の館だったというセビリアのホテルの客室。
2年前の9月にスペインを旅したのが最後の?海外旅行になりました。