翡翠輝子の招福日記

フリーランスで女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)を担当し、リタイア生活へ移行中。2023年8月下旬からスペイン巡礼へ。ウラナイ8で活動しています。日本文芸社より『基礎からわかる易の完全独習』刊行。

人に任せるという選択

GTD(Get Things Done)、なんと心地よい響き。

毎朝、To Do Listを書いているのにやり残しだらけ。なんとかGTDの境地に達したいものです。この本を1回読んだだけでは実践に結びつかないので読み返しています。

 

bob0524.hatenablog.com

 

GTDは、まず頭の中の気になることすべてを紙に書き出すことから始めます。

次に「行動を起こすべきか」を見極めていきます。行動を起こす必要がないものは、ゴミ箱か、保留リスト、あるいは資料としてファイル。そして、行動を起こす必要があるもののは次の3つに分けます。

・2分でできるものは、その場で実行(2分ルール)

・誰かに任せる

・あとでやる(具体的な行動リストを作り、カテゴリー別に分類しておく)

 

この2番目の選択「誰かに任せる」というのが苦手です。フリーランスのライターとして一人で働いてきた時期が長いせいか、自分だけで仕事を完結するのが当たり前だと思ってきたからです。長く仕事をもらっていた出版社では、編集者に企画を任されたら、自分でアポ取りをしてカメラマンも手配して取材に出向き、デザイナーにレイアウトを依頼し、入稿、校了、取材先への送本までやっていました。

 

しかし、デジタル化が進み昭和や平成の仕事スタイルは遠い過去。ウラナイ8がこの8月8日で三周年を迎えますが、特にコロナ以降は仕事を巡る環境はがらりと変わりました。

uranai8.jp

デジタルに疎くても、ウラナイ8のメンバーのおかげで配信イベントにも参加できました。自分が苦手なことは得意な人に任せればいい。私ができるのは文章書きだから、今後も書くことでウラナイ8に貢献したいものです。

 

そして、これから老年期を迎えるにあたり、できないことがどんどん増えて人に任せることが増えていくでしょう。若い人に「やってあげてよかった」と思ってもらえるような、感じのいいおばあさんになりたいものです。

 

帯広でサウナと水風呂でととのったら、帯広市民のソウルフードインデアンカレーへ。十勝産のじゃがいもがごろっと入った野菜カレーが好きです。カウンターで食べていると、テイクアウトの注文が多いことがわかります。中には鍋を持参する人も。帯広市民にとって、カレーは買ってくるものなんでしょう。

夫と二人暮らしだし、私はめっきり食べる量が減りました。全部自分で作ろうとせず、買ってきたものを適当に組み合わせて食卓に出せばいいと割り切ることにしました。

ウラナイ8にはインドカレー作りの名人、深瀬まるさんもいます。メンバーそれぞれの得意分野が微妙にずれているのが、グループ活動の醍醐味です。

死へのカウントダウン

アガサ・クリスティ推理小説のようなタイトルですが、この本を読んで死を強く意識するようになりました。

 

生きているうちに資産がなくなるのを避けるのは大切ですが、金を残して死んでもしかたがない。手つかずの資産を残して後悔しながら死んでいかないための計画の立て方を指南する本です。

 

ウラナイ8のデイリーメッセージでも紹介しました。

uranai8.jp

 

寿命は予測できませんが、死から目を背けて決して来ないかのように生きるのは得策ではありません。ほんの数週間の延命に数十万ドルの大金を費やすぐらいなら、いさぎよく死ぬほうがいいというのが著者の主張。

アメリカには自分の推定死亡日までの日数をカウントダウンするアプリもあるそうです。

そんなアプリを使うなんてゾッとする、と思う人もいるかもしれない。だが、死を意識することで、人生という限られた時間の大切さがわかる。

 

アメリカは国民全員が加入する保険がありません。ある程度の貯えがあっても、終末医療のためにさらに倹約して貯蓄する人が多いそうです。そんな人へのメッセージ。

老衰し、身体を動かすこともできず、チューブで栄養をとり、排泄も自力でできない。そんな状態では、人はそれまでの人生の経験を思い出すこと以外はほとんど何もできない。プライベートジェットを自由に使えたとしても、もうどこにも行けないだろう。貯金が100万ドルあっても、10億ドルあっても、残された人生でその金を使ってできることはほとんどない。

 

健康に恵まれ、60代になってもスポーツクラブのダンスプログラムを目一杯楽しんでしょっちゅう旅に出ていますが、これがいつまでも続くと思ってはいけません。

 

DIE WITH ZEROの著者がガールフレンドの祖父(69歳)のクリスとバージン諸島のビーチのバーに行ったエピソード。バーには泳いで行くしかなく、濡れたドル札で払うことから「ソギ―ダラーバー」と呼ばれています。

クリスは元水泳コーチで泳ぎには自信があります。ところが残り3分の2くらいに差しかかったとところで溺れかかるのです。

クリスのような人は、自分の体力がどれほど落ちているかに気付かずに、若き栄光の日々を生き続けている。だが実際は、元水泳コーチであったにもかかわらず、もう30メートルも泳げなくなっていた。

 

JALの「どこかにマイル」で日本各地を旅していますが、こういう楽しみ方ができるのもあと数年でしょう。コロナの蔓延で、旅先で高熱を出すと公共交通機関が利用できず現地の医療機関に迷惑をかけるし、しばらくはひっそり過ごしたほうがよさそうです。

老犬とローマの泉

本格的な夏休みになるシーズンが始まる前にJALの「どこかにマイル」でこっそり帯広へ。

 

北海道で一番好きな街は帯広です。札幌の賑わいや函館の異国情緒、釧路や女満別の抜けるような青空も素敵ですが、街に到着してほっとするのは帯広。野菜と乳製品がおいしいし、六花亭の本店がありスイーツも堪能できます。

できれば夏は帯広に長期滞在したいのですが、踊れるうちにズンバを楽しみ尽くしたいので2泊か3泊にとどめています。旅先のスポーツクラブを利用するという手もあるけれど、場所によってルールも違うだろうし、顔見知りのインストラクターや参加者と盛り上がる楽しさは格別。レッスンの時だけ顔を合わせて軽く挨拶をするだけのゆるいつながりは最高です。

 

親友の優春翠は愛猫家で「猫に人生を支配されている」と言いますが、私にとってはズンバ。

彼女とは長い付き合いで、ちょくちょく家に泊めてもらって語り明かしたものです。人間以上に気配りができる黒猫のくーちゃんにいつも癒されました。時は流れ、くーちゃんは老齢を迎え、先日の島根訪問ではかなり衰弱していました。「もしかしたら今晩が山かも」と優春翠が言うので、私は震えあがりました。くーちゃんは私のことを覚えてくれていて、差し出した手にごろごろとすり寄ってくれていたのですが、来客へのそうした気配りが負担をかけているように思ったからです。

 

帯広で訪れた喫茶店。看板犬のくろちゃん。

10数年前、商店街に住み着いた野良犬で、飼いたいという人のために捕まえたら、結局その人が飼えなくなって引き取ったと語るマスター。足元がおぼつかず、よたよたと入口まで歩き外を見ているのは、常連さんを待っているのでしょう。元気な時は誰にでも愛想がよかったとマスターは言います。

 

ウラナイ8の玉紀さんも愛犬トッピーの介護がかなり大変そう。しょちゅう旅に出る私はペットと暮らす選択肢はなく、人が飼っている犬や猫をちょっとかわいがらせてもらえるだけでもありがたいことです。

 

 

帯広の温泉は大地の恵みがお湯に凝縮されたモール泉。サウナもあちこちにあって水風呂の質もいいし、最高に「ととのう」環境です。

本格的なフィンランドサウナのある「森のスパリゾート 北海道ホテル」が有名ですが、今回は駅前の十勝ガーデンホテルに泊まり、日帰り温泉のローマの泉へ。

 

店名は、古代ローマの公衆浴場(テルマエ)から。

脱衣室、浴室、サウナは個室で1時間2000円。平日は30分延長無料。モール温泉かけ流しの温泉に、水風呂は地下水かけ流し。脱衣室の扇風機を回せば「ローマの風」。栄華を極めたローマ皇帝でもこんな贅沢は味わえなかったでしょう。ここはスタッフの方々も親切で感じがいい人ばかり。10回行けば無料になるサービス券もいただきました。期限はありません。JALの「どこかにマイル」頼りなので、いつになるかわかりませんが、ぜひ達成したいものです。

 

帯広の喫茶店の老犬とローマの泉は、しっかりと記憶に残りました。そのうち健康寿命が尽きて、自由に動け回れなく日が来ても、脳が働いているうちは思い出を何度でもかみしめることができます。

スピリッツを高揚させる4つの方法

カルト宗教ほどではないけれど、誰しも何かに囚われて生きています。

私はアルコールに囚われています。体に悪いとわかっていながら、日が暮れるとビールやワインに手が伸びます。そこで読んでいるのが「飲まない生き方」。

 

蒸留酒(スピリッツ)の語源は魂。ユングによるアルコール依存症の話をとても興味深く読みました。

 アルコールに対する彼の渇望は、低次元ではあるが、心身の完全性を求める魂の叫びにも似ていた。

 アルコールをラテン語に訳するとspiritus。精霊を意味するspiritusが人間を堕落させる毒をも意味する。ならば、有効な療法は”Spiritus contra spiritium(スピリッツをもってスピリッツを制す)”ではないか。

 

アルコール以外で魂を高揚する方法があれば、飲む必要はなくなります。そのヒントとなるのが、文化人類学のアンジェレス・アライエンの解説。

 シャーマニズムの社会では、失意や失望を抱える者がシャーマン/呪術医のもとを訪ねると、4つの質問のうち、どれかを聞かれる――いつから踊っていないのか、いつから歌っていないのか。いつから物語に感動していないのか、いつから静寂を楽しめなくなったのか。

週に5回はズンバで踊っています。ヒップホップも始めました。ズンバがお祭り騒ぎで自由に動けるのに対して、ヒップホップにはいろいろと作法があるのにびっくり。スポーツクラブは高齢化しているので「肩や腰が痛くならないように気を付けて」とインストラクター。そして「型はあるけれど、リズムにのることが最重要」。この言葉に勇気づけられて、複雑なステップにとまどいながら続けています。

 

音痴なので歌いません。でも聴くのは大好き。アメリカ、カナダ、アイルランドフィンランドを訪れたのは、ボブ・ディランザ・バンドU2レニングラードカウボーイズの影響です。一生聴き続けます。

 

物語に感動することはしばしばあります。占いを始めたのも、物語を語りたいから。世界で一番好きな語り手はガルシア=マルケス。『百年の孤独』を超える物語を持つカルト教団が現れたらちょっと危ないかも。

 

6月の信州の旅で、自然の中を歩く喜びに目覚めました。じっと座って瞑想するより、一人で歩いて静寂を楽しむほうが私には向いているようです。

 

この4つの方法を実践していれば、カルトに入信することはまずないでしょう。

若い頃、熱心にヨガをやっていましたが、オウム真理教を絶対に受け付けなかったのは、へんてこな歌のせいです。

 

カルトの免疫

今の若い人は、合同結婚式地下鉄サリン事件を知らないから、カルトに入信するリスクが高いそうです。芸能人やスポーツ選手が参加する合同結婚式がワイドショーで報じられていたのは1992年で、地下鉄サリン事件は1995年。10代や20代の若者にとっては遠い過去のことでしょう。

 

瞑想や巡礼に興味を抱いている私は、勧誘されたら喜んでついて行きそうなタイプですが、特定の宗教に入信することなくここまでやってきました。実家は真言宗で親の葬儀には僧侶にお経をあげてもらい、自分の結婚式は母校のプロテスタント系教会で挙げています。

 

マンションの理事会が順番で回って来た年、居住者に防火管理者がいないといけないことが判明し、消防署で講習を受けたことがあります。平日に昼間に動きやすいフリーランスだったためです。

講習の後に試験があり、ぎりぎりでも合格さえして資格が取れればいいと思っていたのですが、やけに真面目な若者たちがいました。試験に合格したけれど、満点が取れなかったらしく「どこがまちがっていたのでしょうか」と確認に行く熱心さ。区内の立正佼成会から来ていることがわかりました。

何事にも熱心に取り組む姿勢は立派だけど、私にはとても無理。宗教に勧誘されてもあんなタイプの人が主流の組織でやっていけるわけがないと思い至りました。

 

それでも人は多かれ少なかれ、親や社会から刷り込まれ価値観に洗脳されているものです。

 

コロナの前、九州の温泉で同世代の地元の女性と一緒になったことがあります。

世間話になり、「旭化成に入社して、海外の駐在経験もある」というので、平凡そうにに見えるけれどエリートなんだなと思いました。「あなたは?」というので「自由業で雑誌や本の原稿を書いている」と答えると「それもすごいじゃない」。しかし、話がだんだんかみ合わなくなり、その女性は息子のことを語っていることがわかりました。

「女の価値は、夫や子どもの社会的成功にかかっている」と「自分にしかできない創造的な仕事をしたい」という価値観の違いでは、会話は成立しないでしょう。

 

そして、私は子どもの頃から、とあるカルト教団ならぬ球団にハマっています。これが免疫となっているのか、他のものを信じる余地がありません。

 

神戸の実家では、ご近所が一斉にサンテレビにチャンネルを合わせ、窓を開ける季節は、中継を見ていなくてもお隣から漏れる歓声で試合の流れがわかりました。大学時代は聖地でボールガールのアルバイトもして、生涯で最高の仕事だったと思っています。

 

今年はセリーグワースト記録の開幕9連敗で暗黒の年の予感が濃厚でしたが、5位に浮上しているではないですか!

優勝なんて大それたことは望んでいません。「阪神の優勝は人生で3度まで」という教えがあります。1985年、2003年、2005年と3度見ているので、今生ではもうないでしょう。

 

「どこかにマイル」第1回目の行先は高知。二軍の安芸キャンプを見物できました。