カルト宗教ほどではないけれど、誰しも何かに囚われて生きています。
私はアルコールに囚われています。体に悪いとわかっていながら、日が暮れるとビールやワインに手が伸びます。そこで読んでいるのが「飲まない生き方」。
蒸留酒(スピリッツ)の語源は魂。ユングによるアルコール依存症の話をとても興味深く読みました。
アルコールに対する彼の渇望は、低次元ではあるが、心身の完全性を求める魂の叫びにも似ていた。
アルコールをラテン語に訳するとspiritus。精霊を意味するspiritusが人間を堕落させる毒をも意味する。ならば、有効な療法は”Spiritus contra spiritium(スピリッツをもってスピリッツを制す)”ではないか。
アルコール以外で魂を高揚する方法があれば、飲む必要はなくなります。そのヒントとなるのが、文化人類学のアンジェレス・アライエンの解説。
シャーマニズムの社会では、失意や失望を抱える者がシャーマン/呪術医のもとを訪ねると、4つの質問のうち、どれかを聞かれる――いつから踊っていないのか、いつから歌っていないのか。いつから物語に感動していないのか、いつから静寂を楽しめなくなったのか。
週に5回はズンバで踊っています。ヒップホップも始めました。ズンバがお祭り騒ぎで自由に動けるのに対して、ヒップホップにはいろいろと作法があるのにびっくり。スポーツクラブは高齢化しているので「肩や腰が痛くならないように気を付けて」とインストラクター。そして「型はあるけれど、リズムにのることが最重要」。この言葉に勇気づけられて、複雑なステップにとまどいながら続けています。
音痴なので歌いません。でも聴くのは大好き。アメリカ、カナダ、アイルランド、フィンランドを訪れたのは、ボブ・ディラン、ザ・バンド、U2、レニングラード・カウボーイズの影響です。一生聴き続けます。
物語に感動することはしばしばあります。占いを始めたのも、物語を語りたいから。世界で一番好きな語り手はガルシア=マルケス。『百年の孤独』を超える物語を持つカルト教団が現れたらちょっと危ないかも。
6月の信州の旅で、自然の中を歩く喜びに目覚めました。じっと座って瞑想するより、一人で歩いて静寂を楽しむほうが私には向いているようです。
この4つの方法を実践していれば、カルトに入信することはまずないでしょう。
若い頃、熱心にヨガをやっていましたが、オウム真理教を絶対に受け付けなかったのは、へんてこな歌のせいです。