夏になれば国内ならまた気軽に旅行できると期待したのですが、なかなかそうなりそうにありません。
東京都民以外はGo Toキャンペーンで旅行が奨励されている一方で、知事によっては県を超える移動の自粛を要請するなど、政府の方針はまったく一貫していません。緊急事態宣言を出したら、旅行社や航空会社、鉄道はキャンセル代を無料にせざるを得ず、ますます経営が苦しくなるため、中途半端な状態を続けているのでしょう。
こうなる前はJALの「どこかにマイル」で日本のあちこちに飛びました。マイルを貯めれば往復の交通費がかからないことに加え、4つの候補地のどこになるか運任せなのが気に入っています。
希望を言えば、暑い季節は北海道、寒い季節は温泉地。何度当たっても行きたいのは帯広と大分です。
ある時、候補地として「帯広、釧路、徳島、山口宇部」が出ました。釧路も悪くないし、徳島と山口宇部は行ったことがないので申込みました。ちなみに組み合わせが別の候補を出すことができます。
申込みから2日後に届いた結果は山口宇部。
秋吉台とか萩・津和野に足を伸ばすのが定番でしょうが、美しい景色というのにあまりそそられません。活気があり、そこで暮らす人々の生活を垣間見ることができる場所が好きです。その点で下関はとても魅力的ですが、北九州空港のほうが便利です。
「どこかにマイル」では、「どこに行こうと、そこを最高の目的地として楽しむ」のが目標。何もない山口宇部だからこそ、工夫のし甲斐があるというもの。
調べてみると山口宇部空港は徒歩7分にJRの草江駅があります。空港から歩いて行ける無人駅というのもめずらしい。整理券を取って乗ってみました。
宇部新川駅からバスに乗って地元の人が行く健康ランドへ行ってみました。タオル、館内着、昼食、ドリンク付き(アルコールも可)で1480円という格安料金。露天風呂やサウナで山口なまりのご常連さんの話を盗み聞きして、福岡のニュースが流れるテレビを見ます。昼食は鯖の塩焼き定食に生ビール。こんな施設が家の近くにあったら毎日でも通うのに!
と思ったら、家の近くの高井戸にも温泉がありました。
電車やバスで行ける天然温泉。サウナは2種類あり、水風呂も快適。フィンランド人留学生が来たらいつも連れて行っていました。
風呂上りは隣接するスーパーの中にある美登里寿司へ。 銀座や渋谷では行列ができる人気店です。高井戸の店は時間をはずしていけばあまり待たずに済みます。
ゆったり飲むところではないので、さっと食べて席を立ちました。東京から出られなくても、高井戸温泉と美登里寿司があればそれでもう十分です。
「人類の遺伝子の中には旅心が潜んでいて、旅をしたいという希望は普遍的なのである」というまえがきから始まるこの本。
著者はスウェーデンのジャーナリストです。
前書きはこう続きます。
古代スウェーデンの農民たちは初夏になると、敷地内にある質素な「夏のキッチン」と称する建物に移り住むのを常とした。大した移動ではない。五十メートルほど移動するだけのこともあったが、簡素で気ままな生活を体験するにはそれで充分だった。
気が付けば 近所のなじみの場所ばかりを回って日々が過ぎていきます。気兼ねなくあちこち行ける日はいつになるかわかりませんが、近所でも新しい体験を求めていきたいものです。