翡翠輝子の招福日記

本業は女性誌の原稿書き(主に東洋占術と開運記事)。副業で外国人に日本語を教えています。フィンランドが大好き。

仙台で商売繁盛の秘訣を探る

仙台に到着後、まず向かったのが、クリスロード商店街。仙台四郎を祀る三瀧山不動院です。

 

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 仙台四郎は江戸時代末期から明治を生きた実在の人物です。

彼の立ち寄る店は繁盛し、「福の神だ」と呼ばれるようになりました。

彼には知的障害があり、気ままに歩き回っていたのですが、温厚な性格で誰からも好かれていたそうです。

知力の代わりに彼には繁盛する店を識別する特殊な能力があったのでしょう。素直な性格なのに、嫌いな店にはどんなに誘われても決して足を向けなかったそうです。

 

昨年の春から外国人に日本語を教えるようになりました。一応「日本語教師」ということになっていますが、教師というよりサービス業です。

教えている学校がヨーロッパ系で、学生を「カスタマー」と位置付けていますし、私が担当している作文は選択クラスですから、学生に選ばれなければ授業が成立しないのです。

そして学生のレベルも動機も千差万別。母国の大学で日本語を専攻し研究者を目指す学生もいれば、日本で数週間遊びたいけれど親に言われてしぶしぶ日本語学校に通っている学生もいます。

本業がライターなので作文クラスを担当することになったのですが、最初の頃はどうしていいのかまったくわかりませんでした。

 

新しいディレクターが着任して、方向性が決まったものの、その後も試行錯誤の連続。日本語を教えようとするのではなく、学生一人一人が書きたいものを書く手伝いをするという方針に舵を切りました。

クラスがつまらなければ学生は来なくなりますし、おもしろければ友達を連れてきます。毎回、何人来るのか、胃が痛くなりながら教室に向かいます。

これはまさしく商売人です。

 

商売といえば、仙台の奥座敷、秋保温泉に伝説のスーパーがあります。

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その名も「主婦の店 さいち」。

手作りのおはぎとお惣菜で大評判、週末にはおはぎを求める客で渋滞が起きるという店です。

佐藤啓二社長は「家庭料理よりおいしくなければ絶対に買ってもらえない」と言います。

なるほど、なるほど。

私のライバルは同業の日本語教師じゃありません。東京の観光スポットです。秋葉原や浅草よりおもしろい体験を提供しなければ、絶対に来てもらえないのですから。

 

アニメやまんがが好きで、数週間しか日本に滞在しない学生に、動詞の活用を覚えさせようとしても、うんざりされるだけです。

「あなたの表現したいことは、こんなこと? だったら日本語ではこう書きます」という方向に持っていきます。

初めて来た学生がこんな問いを発しました。

「このクラスでは何をするんですか?」

私の答え。

"Express yourself in Japanese!"

どんな日本語でもいいから、あなたを表現してしてほしい。

あなたがずっとあこがれていた日本で、あなたのことを日本語で書いてほしい。

それは単なる観光旅行よりずっと楽しいはずでしょ?

しばらくさぼっていた生徒が久しぶりに出席したと思ったら、日本人の恋人へのラブレターの添削を頼まれることもあります。ここは恋文横丁? とにかく日本語を学ぶモチベーションが上がるのはいいことですし、日本人の恋人ができた学生は一気に日本語が上達します。

 

作文クラスを繁盛させるためには、教師はいつも機嫌よくあるべきだと気づきました。

仙台四郎は、いつも機嫌よくにこにこしていたからこそ、福の神になったのです。

そして、主婦の店さいちで働く人たちは、駐車場誘導スタッフに至るまで、とても感じがよく、きびきびとしていました。この店で働くのが本当に楽しいという気を全身から発しているのです。

同じようなことを千葉のいすみ鉄道でも感じました。

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日本語教師を始めたばかりの頃は、緊張のあまり、楽しいとは感じられませんでした。そんなピリピリとした雰囲気では学生が寄り付かないのも当然です。

学生の作文を読むのがおもしろくなり、やりとりも活発になってきて、少しずつ楽しい教室になってきました。

 

いつも機嫌よく、客を最大限に楽しませたい。しばらくこのスタイルで続けてみます。